千の風になって。。。モニュメントの真意。。。切断された情を結びつけるもの。。。
Do not stand at my grave and weep...
私のお墓の前で嘆き悲しまないでね。。。 日本では「千の風になって」で、有名な詩。。。 そうして、巷で見かけるものに、「お墓にいないのなら、墓参りは必要ない」とか、いったレベルの反応をする人がいると聞く。。。 参照ブログ:「住職のひとりごと」-「千の風になって」の誤解 ここで留意しなければならないのは、生者の立場で、死者の立場を思い量ることによって、作られた詩であるということだろう。。。 死者が語りかけているかの如く記述しているがゆえ、そうして、作者不明という状態を恣意的に作り出しているがゆえ、なおいっそう、そのことの重要さを認識すべき詩である。 Mary Frye説が正しいとすれば、なおのこと、生者の死者に対する思いの深さが反映されてできた詩であることは、明白である。 戦争が分断した生者と死者の墓碑。。。その墓碑の元に行けずに嘆き悲しむもののために作られた詩であるのならば。。。 そう。。。正に、墓碑が「誰のためのものか」ということも、逆説的に言い含めている詩である。 偶像崇拝の禁止されているキリスト教で、なぜに「キリスト像」や「十字架」といったモニュメントが必要になるのか? 問題の根底は、そこにあるだろう。 「千の風になって」にて、なぜに、「風」とか「雪」とか「鳥」とかいった物質(モニュメント)が、必要になるのだろうか? 問題の、真の根底は、そこにこそあると言える。 人間の知的認識の限界。。。 人間の情的感受性の限界。。。 知ることと感じることとの両方が、「知覚・感覚・認識」といった識別(いる・いない)に密接に関連し尽くしているということ(私的表現をとれば、「知的切断面」に拠ってしか、意識・認識不可能だということ、言い換えれば、養老氏の唯脳論)である。 もっと深く、根底を流れているもの。。。 。。。「知覚され得ない」情というべきもの。。。 そこにこそ、思いを馳せるべきものなのに。。。 だからこそ、モニュメントが必要不可欠になるということを、再認識すべきなのに。。。 人は、 視覚能力が低下したならば、見ることが困難になり、眼鏡を求める。 聴覚能力が低下したならば、聞くことが困難になり、補聴器を求める。 モニュメントを奪われたなら、情的結びつきを維持することが困難になり、「風」や「雪」」や「鳥」たちにまで、モニュメントの役割を求める。。。 しかし、「モニュメントの必要がない」という人々がいるのなら、彼らの死者に対する情は、いかほどのものなのであろうか? そういった類の詩であると勘違いして聞いている人々がいるとすれば、やはり、情は知によってズタズタに切断されてしまっていると考えざるを得ないのではないだろうか? ※07/06/02 10:00 補足 文中のリンク先を見られたならば、お分かりのことと思いますが、今回指摘している「モニュメントを求めようとする心」は、「モニュメント」を通した先に「共通の真理」なりを見出そうとする心(特定の宗教を信じようとする心)とは、異なっています。 ※08/02/28 07:45 この詩を巡る死生観についてコメントされているブログを見つけました。 http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070120/1169277319 ※08/08/14 03:15 追加 実は、この記事(「千の風になって」=「モニュメント」考)を記載した後、だいぶ経ってから、大沼に「千の風になってのモニュメント」を氷にて試作(2008年2月1日)し、次に、安山岩にて完成させた(2008年4月25日)ことを知っていた。
by kisugi_jinen
| 2007-05-30 18:35
| つれづれ。。。
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from 来生自然の。。。
at 2008-04-06 03:27
タイトル : 靖国。。。思想(知的切断)。。。右翼と左翼の差異と共通点..
靖国。。。 この問題については、当ブログでも、何度か取り上げた。 自己責任と参拝と。。。 フランスの暴動。。。そして日本。。。 情の2方向。。。共有可能性・交換可能性・共感可能性の高さ。。。 要約するならば、モニュメントとしての「靖国」を語るとき、知と情を分断(知的切断)して、情を放置した二者(ないし多者)択一論という知の攻防に終始するか、知を放置した情の優位性のみを知的に語る(情の知的切断を行う)ときに、(交換不可能な、共感不可能な)「本来の情」(個々の人々にとっての、それぞれ...... more
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from 来生自然の。。。
at 2008-04-20 07:14
タイトル : 「いじめ」と「知的切断」と。。。知の優位性とその背景。。。
最近のイジメについて、週間文春に記事が載っていた。(2008年4月10日号) 先生も親も気がつかない「最新いじめ事情」 新郷由起 (時期を同じくして、文科省が裏サイトについて調査した結果を報告している。) それによると、いわゆる「陰湿さ」の本質が的確に述べられていた。 すなわち、暴力・腕力といった情→力といった行為は避けられ、知的に相手の情を操作し、イジメから抜け出るような行為に対して「できないように」精神的圧力を加え、また、外部に漏らすことができないように精神的に操るそうである。明らか...... more
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from 来生自然の。。。
at 2008-05-02 04:52
タイトル : 花の切断。。。モニュメントの二重の知的切断と情と。。。
花を切断する事件が続発している。。。 Excite エキサイト : 社会ニュース 実の所、報道されていないが、近隣でも目にする。 そこには、「知的境界の消失」が見え隠れする。 「知的に形成された境界を情で越えようとする」 のではなく、あからさまに 「知で楽々越えて」 しまっているかのごとく錯覚しているようだ。 「花」といっても、雑草を刈り取ったり、踏んづけたりしても、ニュースにすらならないのに、 「育てている花」だったらニュースになるということが、犯罪を助長しているのかも...... more
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from 来生自然の。。。
at 2008-11-18 04:30
タイトル : 千の風になって。。。千の風担って。。。
。。。2: Mary Fryeの心に捧げる歌。。。 貴方のお墓の前に行くことは叶わず 戦争の壁をこえて 思いは彷徨う 千の風を 千の風担って あの大きな空を 吹きわたっていきたい 春には花担って、貴方にふりそそぎ 夏はスコール担って 静かに抱き(いだき)たい 昼は飛行機雲に 貴方を思い出し 風の中で二人出会うことを望む 貴方のお墓の場所も生死も判らない 戦争の壁をこえて 思いは彷徨う 千の風を 千の風担って あの大きな空を 吹きわたっていきたい 千の...... more
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from 来生自然の。。。
at 2010-11-02 07:19
タイトル : 千の風になって。。。モニュメントとその後。。。
あれから、千の風になって・モニュメント考など書いていたが、北海道にモニュメントができ、新潟にもモニュメントができるとの話もあり、「原作者不詳」として広まった背景と、詩の内容を鑑みるに付け、何にしても「歌詞の思いに反する利権(所有権)」に絡んでお金が動くという状態は、「歌詞の思いに反する墓碑・モニュメント」にお金をつぎ込むのと、どう違うのだろう?と、考えてしまう。。。 海外でもcopy rightにまつわる記事※1が見受けられるとのことであるが、日本の「商標登録」関係の裏事情に関する記事を見つけて...... more
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from 来生自然の。。。
at 2013-08-04 05:30
タイトル : モニュメントとしての「風立ちぬ」。。。「生きねば」。。。..
まだ見てはいない。。。 ただ、垣間見る評論家の意見、「反戦派の宮崎氏にしては片手落ちだ」は、(おそらくグラマン)戦闘機に銃撃され、寺の床下に逃げ込み、一命をとりとめた私の父の言葉を思い起こさせる。。。 子供の頃、機能的な美しさゆえに「かっこいい」という言葉を添えつつ、プラモデルの零式艦上戦闘機をくみ上げていたとき、父は悲しげに語っていた。【かっこいい】なんて言葉を使うんじゃない。 どれだけの人が戦争で死んだと思っているんだ! 戦闘機は人殺しのための道具。 銃や戦闘機をみて【かっこいい】とい...... more
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