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封筒のパラドックス。。。5。。。シミュレーション編。。。
封筒のパラドックスにて一方の封筒の金額の倍入っているか、半分入っているかの場合の数をだして、確率分布とそれによる期待値をシミュレーションしてみた。
まず、胴元が用意する金額を同一紙幣のみとし、3N枚準備したとする。
その内の3t枚(t=1..N)抜き出して、t枚を封筒Aに、2t枚を封筒Bに入れる。
上記操作が行われるという条件付きで、封筒Aと封筒Bとを確率1/2で選択し、片方の封筒を開いたとき、x枚の紙幣が入っていたとする。このとき、別の封筒に入っている紙幣の枚数をyとしたとき、yはxの何倍になるかの期待値(以下、倍率の期待値)を計算した。
さて、結果は。。。





※06/10/22 00:45:00 訂正

恥ずかしながら、式内でNCrとすべきところ、rCNとしていたので、訂正します。

※06/10/16 06:45 補足
下記図中yは正確にはf(x):期待値です。

※06/10/24 01:15プロット図・修正・追加

プロットに一部不正確なところがあったので修正版に差し替えます。また、種類を増やしました
胴元が用意しうるペアとして取り得ないところをゼロとしていましたが、その部分を除外しました。プロット図全体の分布状態には大きな変化はありませんが、N->∞での倍率の期待値がさらに1へ収束していく傾向を示していることが分かります。


封筒のパラドックス。。。1。。。以降、ずーっと指摘してきたことが証明された。

N=1,2,10,100でのプロットを示す。
引いた封筒に偶数枚数が入っていたときのプロットを上段に示す。
次に、奇数枚数が入っていた場合を含めたプロットを下段に示す。
(クリックすると、拡大されて表示されます)

封筒のパラドックス。。。5。。。シミュレーション編。。。_b0032038_1463834.jpg

封筒のパラドックス。。。5。。。シミュレーション編。。。_b0032038_1465382.jpg

封筒のパラドックス。。。5。。。シミュレーション編。。。_b0032038_146594.jpg

封筒のパラドックス。。。5。。。シミュレーション編。。。_b0032038_1473060.jpg



それぞれ、タイトルの下に倍率の期待値を示してあります。(クリックすると拡大して表示されます)
エクセルの場合、階乗計算(組み合わせの計算)での誤差が含まれる。正確にはLISP等を使って計算しなければならないでしょう。

しかしながら、今回のシミュレーションの結果、最初に選択した封筒に入っていた金額とほぼ同額が期待値となることが証明されたといっていいでしょう。。。

今回使用した式を下記に示します。(以下、06/10/16 04:12修正、06/10/16 04:42式の再修正、06/10/22 00:45:00 訂正)
f(x)は、封筒を開いたときにxが出た場合のyの金額の期待値です。

封筒のパラドックス。。。5。。。シミュレーション編。。。_b0032038_0442114.jpg


*1) 06/10/16 04:42追加・訂正 06/10/19 06:32修正(太字、取消線)
今回提示してある状報のみでNの数を伏せておけば、元のパラドックスとして扱われた設問と同等の状況になる。
シミュレーションする前から、二つの封筒内の総額が決定されているのでたならば、1/3の確率で倍額、2/3の確率で半額が出なければ、無限への発散が生じてしまう(ゆえに、パラドックスとして扱われてきた)ことは明らかだったが、シミュレーションした結果でもそれが示されたと言える。
300枚の紙幣で、33.3枚付近(1/3)にて2倍の期待値が非常に高い低額の領域と0.5倍の期待値が非常に高い高額の領域にきれいに2分されるのである。

で、上記分布のおもしろさは、低額であるならば、封筒を交換した方が断然お得なわけで、高額の場合、封筒を交換しない方が、断然お得なわけである。

ただし、用意された総額と、その1/3の地点を予測することはできない。。。

さて、奇数枚数の場合の半額の紙幣を準備した場合も考えなければならないという指摘もあるだろう。
この場合には、N→2Nへと全体がシフトするだけであり、さらに半額、半額としていけば、N→∞という操作と同等の行為を行うことと同等になる。
したがって、式の最後に示したシグマにてN→∞の極値は、真の意味での倍率の期待値と言えるかもしれない。。。

※3) 06/10/17 00:50補足、 06/10/17 08:00修正(太字) 06/10/19 06:25 再修正
(x,2x)と(0.5x、x)という組み合わせが分布する空間を、確率密度関数=1/(2N)という一様分布にて計算したが、正規分布では?という意見をいただいた。
確かにxが一定金額(たとえば10000円)であれば、最小分割は1円までであり、下限に制約が発生し、かつ、起こりうる事象そのものには上限があり、上限を無限大とするわけにはいかないので、制限が発生し、2Nという上限の分布が正規分布になるだろう。しかし、上限の想定が困難なために、中心(上限、および一定値までではあるが下限も)が様々な分布の総和を考える必要が出てくるだろう。
いずれにしても、一般解としてのxに対する期待値を考える場合には、無限分割可能(ないし無限の上限が想定可能)といった一様分布を想定する必要があると思う。


※06/10/19 06:25補足
上記、胴元の上限に関する分布は、実のところ、二次的な分布なので、ややこしく、説明不足な感が否めないので、下記に記述しておく。

今回のシミュレーションをまとめると、
1.胴元の上限(3N)が無限の可能性があるとして、1回の事象を考える場合、その上限が有界として、その範囲内で、封筒を用意するという仮定を行った。
2.その範囲内(3N固定、すなわち、∃(N))にて、用意された二組の封筒のうち、あるxを引いたとき、その倍額が出る確率と、半分の金額がでる確率の一般解を求めた。
3.一般解は、
f(x)=2x*Px(2x)+0.5x*Px(0.5x), (1≦x≦2N)
であり、Px(y)は、一方の値がxのときyが生じる確率となる。これは、二つの場合の数にて決定される。すなわち、2xの場合をCx(2x)とし、0.5xのときをCx(0.5x)とすれば、
Px(2x)=Cx(2x)/(Cx(2x)+Cx(0.5x))
Px(0.5x)=Cx(0.5x)/(Cx(2x)+Cx(0.5x))
となる。
もともとのパラドックスはPx(2x)=Px(0.5x)=1/2と勝手に決めてしまいがちなところから発生している。しかし、その値は、2Nが固定されているとき、xによって、上記図の様に、Px(2x)>Px(0.5x)で、ほぼPx(2x)が1の範囲とPx(0.5x)>Px(2x)で、ほぼPx(0.5x)が1の範囲に分かれるのである。そうして、その境界はx≒1/3*2Nとなった。
3.したがって、シミュレーションの結果は、奇数の場合を含めても、半額が出る確率が2/3程度となり、倍額が出る確率が1/3程度になるわけである。
4.上記記述は、∃(N)∈R、すなわち、実数に含まれるあるNを想定したとき、Nの無限分割性と無限大への発散は同等に扱うことができ、かつ、Nの分布を一様分布として想定可能ならば、何の問題もなく、一般解として適応可能になると思う。(一様分布の胴元をどのように重ね合わせて想定しても、一様分布になる)
5.上記条件は、胴元の条件が伏せられている限り、成り立ちうると思う。

6.さて、Nが有界という条件が付加されたとき、どうなるのであろうか?
有界の範囲内では中心が存在することになり、その中心をもつ正規分布になるだろう。
で、この条件が、上記Px(y)にどのように影響するだろうか?
それは、二次的であろう。
Px(y)には影響せず、図中のΣ1/(2N)*f(x)/xでの、1/(2N)が分布関数:F(2N)になるのである。要するに、上記図のプロットで、両端(x=0,x=2N)にて固定され、x=Nにてつり上げられて変形した状態になるわけである。
両端の確率が低く、中央付近の確率が高くなるという図である。
(シミュレーション結果は後日。。。)
by kisugi_jinen | 2006-10-16 03:17 | つれづれ。。。 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 来生自然の。。。 at 2006-10-19 05:35
タイトル : 封筒のパラドックス。。。参照編。。。
最初に投稿した時点で 「封筒のパラドックス」 「二つの封筒」 等々で検索をかけてはいたが、改めて検索してみると、いろんなキーワードが見つかった。 その中でも「コルモゴロフ」関連は、面白そうだ。 直接関連するものとしては、ズバリ 1.「コルモゴロフ確率コンテストと「2つの封筒のパラドックス」, 藤田岳彦, コルモゴロフの数学、 数学セミナー,506号,2003.11 2,Christensen, R. and J. Utts, (1992) “BayesianResolutio...... more
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