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EPR相関とBellの不等式と。。。
※22/10/08 リンクの再修正(齋藤氏のPDF見つけた)
※22/10/05 追記・および本文リンクの修正
ベルの不等式、量子もつれに関連してノーベル賞が与えられたというニュースがネット上を賑わせている

--- 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)Science Portal の記事
ノーベル物理学賞、量子情報科学研究の欧米3氏に 2022.10.04
--- 日本物理学会 の記事
2022年ノーベル物理学賞は,ベルの不等式の破れを実証し量子情報科学を開拓した量子もつれ光子の実験の業績により,アラン・アスペ博士(パリ・サクレー大学及びエコール・ポリテクニーク、フランス),ジョン・F・クラウザー博士(アメリカ),アントン・ツァイリンガー博士(ウィーン大学,オーストリア)の三氏が受賞。

上記URL内にて齋藤氏のリンク(PDF)見つけたので修正(22/10/08)
以降のリンクを修正しておく。
学位論文へのリンク
また、問題の深淵について分かり易くまとめられた論文をツィッターの紹介から知った。
(https://twitter.com/takeokato719/status/1577405024413831169)
============

※08/10/28 02:45 文中一部文字を赤に変えました。この部分、サラリと流していますが、実は本質的に矛盾した内容を含んでいます。part.5と比較すると、良く分かるはずです。
EPR相関とBellの不等式と。。。5。。。
============

EPR相関(旧パラドックス)とBellの不等式について、実験系を含めて専門的に詳しく記述しておられるところがあった。
東大物理学の齋藤氏のサイトになる。(リンク復活22/10/09:https://www.jps.or.jp/information/2022/10/04/64-1_33.pdf
専門分野の関係から、量子力学の入り口付近でうろうろしていたのだが、このサイトの下に記載されておられるC(Φ)=-cos(Φ)の図が非常に分かりやすい。
この図を見ていると、その昔、一度だけトレースしたことのあるベルの不等式あたりを自分なりにまとめてみようかと思うようになり、今回の投稿に至った。
説明については、英文の論文が参照できる(※注:リンク切れのためリンク削除22/10/05)が、入り口付近で足踏みしていたものにとっては、読み下すのが困難であるが、過去の知識とを総動員してなんとか概略だけは掴んだ(つもりである)。

※08/08/21 03:30 追加
本記事を投稿した当時のサイトおよびリンク先は、現在参照不可能になっています。(論文として、正式に投稿されたようです)
その代わり、日本語に翻訳・要約されたページができていましたので、リンクを埋め込んでおきます。
EPRパラドックスの検証
https://www.jps.or.jp/information/2022/10/04/64-1_33.pdf
※22/10/08リンク再修正
説明文は、時間のあるときに入れていくつもりである。
今回のものは、メモ程度である。
実は、私自身の仮説の説明と、心と量子力学の関連性との説明に使うための下準備でもある。

宇宙全体が一つの孤立系としてシュレーディンガー方程式の重ね合わせ像として記述可能であるとする。
そのとき、相互作用している(孤立していない)物質は、ひとつの系として取り扱い可能である。
(下図の緑の系が相当)

一つの粒子が二つのスピンを持つ粒子に分裂したとする。
この粒子は緑の系に属していたので、分裂時点での挙動は緑の系の状態に依存している。
EPR相関とBellの不等式と。。。_b0032038_450933.jpg

分裂した二つの粒子は状態が未確定(量子力学的な確率で表される状態)になっている。すなわち、スピンの向きは不明である。
しかし、二つの粒子は量子力学的に絡まった状態になっている。
EPR相関とBellの不等式と。。。_b0032038_451557.jpg


もし、「スピンの向きが逆方向である」ということ(角運動量保存則)と、その「スピンの向きが分裂時点で既に定まっている」という仮定(「隠れた変数」があるという仮定)を行うと、検出器の相対的な角度(Φ)に応じて、下図の青色の範囲内に測定結果が収まるはずである。(ベルの不等式)
EPR相関とBellの不等式と。。。_b0032038_452183.jpg

量子力学の相関:C(Φ)は検出器の相対角度がΦであるときのスピン同士の相関を表す。すなわち、二つの粒子のスピンの向きが検出器との相互作用にて特定方向へと確定したときに、離れたところにある、もう片方のスピンの向きがΦ度だけ回転している検出器にて検出される確率に相当する。

Φ=0、すなわち、スピンの向きが相反する状態(角運動量が保存された状態)を検出するときの図を下に示す。このときには、ベルの不等式での結果と量子力学的な相関とが一致する。(当たり前と言えば当たり前である)
EPR相関とBellの不等式と。。。_b0032038_6263948.jpg

Φ=90°、すなわち、スピンの向きが90°である状態を検出しようとするときの図を下に示す。このときには、確率的に90°傾いていることはあり得ない(ベルの不等式、角運動量保存則)し、量子力学的な相関(確率)でも0になる。
EPR相関とBellの不等式と。。。_b0032038_4521458.jpg

0<Φ<90°、ベルの不等式から計算された場合よりも、量子力学的な相関の方が強い。すなわち、分裂当初からスピンの向きが決まっていたという仮定(隠れた変数説)での理論値(ベルの不等式)よりも、高い相関を示している。このことは、隠れた変数説にて導き出される仮定(ベルの不等式)よりも、量子力学的に両方の粒子の結びつきが強いことを意味している。
EPR相関とBellの不等式と。。。_b0032038_4522020.jpg

EPR相関(ベルの不等式)関連で、もっとも陥りやすい誤解の一つに、Φ=0での結果のみに言及した記事をみて、「角運動量が保存されているので当たり前」だということがあるようだが、上記0<Φ<90°での関係をじっくり眺めれば、角運動量保存則よりもさらに強力な「何か」が働いていることは、誰しも感じ取れることであろう。

=====06/07/02 04:40補足
※さらに強力な「何か」
これは、量子力学的な「もつれ」(エンタングルメント)と呼ばれるものである。
よく、「瞬時に情報(正確には状報)が伝達されること」と誤解される場合があるが、そうではない。
この実験系で片方の測定を遅延させたとき、片方が確定されれば、「状報が伝達された」かのような錯覚に陥るが、「伝達される状報」は「ない」。
これは、「計測する」という言葉には、主体者の意思決定が関わっているように取れる言葉であるから、誤解を生みやすいということでもある。
2粒子が量子力学的に一つの系として扱われるとき、両者に「因果関係」を当てはめることは出来ない。「状報伝達」という概念は、因果論的な考え方である。量子力学的な状態決定が離れた2箇所にて同時になされる場合には、「非因果的」(というより、まさに「相関的」、22.10.11追記)という概念で扱われるものになる。
すなわち、
「こちらの粒子の意識的な測定が、あちらの粒子の状態を決定するということで、状報があちらに向かって伝達する」といった概念で捉えることが間違っているということである。
もし、間違いではなく、上述が成立するのであれば、
「あちらの粒子と何らかの物質との相互作用が、こちらの粒子の状態を決定するということで、状報がこちらに向かって伝達し、計測者の意識を決定する」
ということも、同時に成立しなければならない。
(早い話、量子力学と相対性理論が共存しており、量子テレポテーションでの人間側の意思決定に関与する「情報(状報)」の伝授には古典経路が不可欠といった事項からも自明と言えば自明、22/10/11追記)

このことを含めて、part3にて詳しく考察をして行くこととする。


by kisugi_jinen | 2006-06-29 04:54 | 思考。。。 | Trackback(6) | Comments(0)
Tracked from 来生自然の。。。 at 2006-07-02 04:21
タイトル : EPR相関とBellの不等式と。。。2。。。
さて、 EPR相関とBellの不等式と。。。 では、分裂(射出)系と、両方のスリットを「緑の世界」として1つながりの系として扱ったが、これらが「量子力学的に」1つながりの系として扱えない場合を考えてみることも、重要である。 (そうすることで、シュレーディンガーの猫問題や、多世界解釈の概念が良く分かる) また、どちらかの側でスリットによる測定を行なわない場合も考えてみる必要がある。 (この場合は、上記、量子力学的に1つながりの系として捉えられない場合と等価に扱うことも出来る) 実は、この...... more
Tracked from 来生自然の。。。 at 2006-07-04 19:40
タイトル : EPR相関とBellの不等式と。。。3。。。
EPR相関とBellの不等式と。。。 EPR相関とBellの不等式と。。。2。。。 の続きです。 まずは、保存則について。 保存則と対称性との関係はネーターの定理に基づいています。 分裂時および計測時のスピンの角運動量は相互に反対を向いている(角運動量が保存されている)ということでいいのですが、分裂後から計測(外部との相互作用)までの間におけるスピンの向き・角運動量については、保存されていないと考えるべきではないかと思います。 理由は下記に記述します。 まず、EPR相...... more
Tracked from 来生自然の。。。 at 2006-07-19 04:30
タイトル : EPR相関とBellの不等式と。。。5。。。
EPR相関とBellの不等式と。。。 にて記述した図を少し変えて示します。 この図で、背景が水色の水玉に変わっています。 分裂した粒子はエンタングルメント状態にあり、黄色の世界として緑色の世界から分離されているように見えますが、果たして、完全に分離されているのでしょうか? 外部と隔離するためには、「真空」を利用しなければならないでしょう。 でも、「完全な真空」はありえません。カシミール効果でも明らかなように、零点振動にて無数の粒子との相互作用を想定しなければならないからです。...... more
Tracked from 来生自然の。。。 at 2008-08-07 03:43
タイトル : 確率における従属・独立と共時性・シュレーディンガー方程式..
確率における従属・独立と共時性・シュレーディンガー方程式。。。 にてコメント欄に書き込んでいたものですが、別投稿として、掘り出しておきます。 Commented by kisugi_jinen at 2004-12-08 22:05 x 今後、私にとっての、基本的な考えになるので、ホームページにアップしました。 http://www.geocities.jp/kisugijinen/ http://www.geocities.jp/kisugijinen/kanren-dokuritsu...... more
Tracked from 来生自然の。。。 at 2008-08-08 03:36
タイトル : ネーターの定理。。。
確率における従属・独立と共時性・シュレーディンガー方程式。。。 追加事項。。。内に、「※08/08/07 03:50補足・追加」として記述しましたが、新たな記事として移しておきます。 === 量子力学を含めた物理学にて、時空間の諸性質(たとえば「場」といった概念)を考えるときに、そういった時空間(たとえば「場」)を成り立たせている「もの」(旧来であれば、たとえば「エーテル」といった概念に相当)が、数学的な対称性概念としての「ネーターの定理」(物理学的には各種保存則)として「全ての時空にて成り立つ」...... more
Tracked from 来生自然の。。。 at 2008-08-11 05:50
タイトル : ネーターの定理とディラックの海。。。エーテルに代わるもの..
ネーターの定理。。。にて、「対称性が成り立つ・成り立たない=保存則が成り立つ・成り立たない」という性質を持つ時空間が想定され、通常「対称性=保存則が成り立つ」時空間内部に、「いま・ここ」を含む宇宙全体が含まれているとした。 その前提条件(というより、当然のこととして)ネーターの定理を、旧来の「エーテル」のごとくの存在とした。 このこととエンタングルメントとの関連性を指摘したが、その理由を付しておく。 1.空間的に十分離れた状態のエンタングルした2粒子(ないし2量子)を含む微少な空間は、「エンタン...... more
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by kisugi_jinen
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