物理学と哲学と。。。「宇宙に法則はあるのか」。。。
「宇宙に法則はあるのか」 ジョン・D・バロウ 著、松浦俊輔 訳、青土社
久々に、良書にめぐり合えた感がある。2004年6月に出版されていた。 本屋に行く機会が激減していたため、見落としていたともいえる。 原著は2000年に書かれている。 この手の思想対比本は、内容を十分消化しきれていない著者が記述したものが目立っていたが、今回のもので、とりあえず、落ち着くのではないだろうか? それほどの安心感を抱かせるだけの本である。 物理学を基盤に、人間原理、反人間原理に至るまで、あらゆる可能性について対比して考察しており、科学的な思考の暗黙裡の九つの前提条件も、明確に提示されている。(ただし、あくまで、平均的な科学者の頭の枠組みということで、提示されている) で、九つの前提条件の一つ目と九つ目 1.われわれの心の外部にあり、われわれの感覚経験の唯一の源泉である外部世界が存在する。 9.これらの前提は、いつでもどこでも、同じ形で成り立つ。 他の七つは、この二つから導出可能だと思われる。 私自身は、科学的といったとき上記二つのみをあげている。 特に、9番目は、「交換可能」という概念で記述している。 このブログ自身は、1と9(ないし1から9)とで成立する科学的概念を基盤として、1の境界を取っ払うことで、9の交換可能を「交換不可能」という立場で、考察してきている。 1と9とで、対象と完全に分断された科学的な「こころ」という概念は、量子力学の全宇宙への適応可能性ということによって、シュレーディンガーの猫問題にてあからさまにされた。 他でも指摘されていることであるが、シュレーディンガーの法則について、重力理論との整合性が求められるときに、非線形で、解の時間的反転が不可能なものに変わるかもしれないとのコメントもきちんと記述されている。ただし、ニュートン力学がそうであったように、シュレーディンガー方程式も近似解として扱われなければならない。 どの程度の変更が加わるか不明であるが、そういった場合、前回までに、私が論じていた仮説の前提条件の一つが崩れる可能性があるということになる。 ただし、「こころ」が量子力学(シュレーディンガー方程式)にどの程度影響されるか?が、焦点になるだろう。 逆説的に言えば、量子力学と統合されるべき理論(現時点では重力理論)の影響を「こころ」がどの程度受けているのか?が問題視されるかどうかが、ポイントになってくると思う。 残念ながら、「こころ」を「観測者」として明示的に取り扱いを真剣に考えられたことは、量子力学以外では無いと言える。 このことは、「こころ」というものがどういったものであるか?を、暗に提示しているような気がしてならない。
by kisugi_jinen
| 2005-12-26 05:20
| 思考。。。
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