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「唯物論・付随論」における「こころ」の定義の影響。。。
「こころ」というものが、物質一元論的に(もしくは脳機能付随論的に)扱われた場合ということを、前提条件に、物質との相互作用という観点から、どの程度までの相互作用の可能性(上限)がありうるのか、という考察を前回行なったが、「情」を絡めたので、誤解を生みやすかったと思う。

人の思い(情)についての議論は、今回の論述では据え置いておく。

たとえば、「こころが念じる」という概念について考える。少なくとも、自身の身体に対して「こころが念じる」ということは、「手足を自由に動かそうとして、動かすことが出来る」という概念である。

前提条件から「こころ」は、脳と相互作用している。

この段階で、「こころは脳機能に付随しているのだから、受動的なものでしかない」という考え方も可能だろう。ここで、枝分かれが生じるので、a.受動的なもので能動的なものではない、b.相互作用するもの、c.能動的なもので受動的なものではない、の3つの可能性を取り上げることにする。

a.受動的なもので能動的なものではない
この場合、「こころ」は脳の影のようなものという感覚に近いと思われる。すなわち、強いて「こころ」などという言葉を用いることすら無意味という概念である。
では、この場合「こころで念じる」とかは何を意味するのだろうか?
これは、すなわち、脳そのものが働いているということを意味している。すなわち、脳の状態が変化するということを意味している。
※07.03.15 06:15 補足:これは、前野氏の受動意識仮説そのものに相当し、前野氏が「意識」として想定していない「脳活動領域」を「こころ」の一部(無意識レベルのこころ)として扱うことに相当する。

b.相互作用するもの
この場合、「こころで念じる」という「こころ」の変化は、脳に何らかの状態変化を引き起こすと考えられる。

c.能動的なもので受動的なものではない
この場合、「こころで念じる」という概念はbと同じであるが、「(こころで)感じる」ということが出来ない状態に陥るとも考えられるが、あるいは、受動的な側面は脳にて処理されるということもありえるだろう。

いずれにしても、「こころが念じる」という概念をトレースした場合、少なくとも、自身の身体に対して「こころ」が作用するという場合、「こころ」をどのように定義しても、「脳」を介して身体が動くというのであれば、何ら問題ないと思われる。
このことに関しては、誰も否定しえないだろう。

また、「こころが念じている」状態でも、身体が動かない金縛り状態というのがある。この場合には、aの立場であれば、脳・神経系の伝達障害という概念で説明できるであろうし、bないしcの立場であれば、「こころ」から脳への伝達ないし脳・神経系の伝達障害のいずれかを想定すれば良いだろう。

さて、a,b,cのいずれにおいても、脳の状態変化がありえるということになる。

では、逆に量子力学の世界から、2重スリットを通り抜けてきた量子がどこに着弾するか?ということを考えてみる。外部との相互作用がなされた段階で着弾点が確定していくわけだが、現代物理学の力をもってしても、確率的にしか着弾点は割り出せない。シュレーディンガー方程式とは、そういった意味の式であり、また、不確定性原理とは、そういった意味の不確定である。

そうやって相互作用した相手とは、マクロ系としての「全体」である。すなわち、宇宙全体へと繋がっている。

このこと(全体が物理的に切断されえない)は、ビックバンからの流れとEPRパラドックスを考えるだけで十分である。
宇宙開闢が一点から始まったとするならば、全ての素粒子は相互作用しながら拡大していったことになる。すなわち、EPRパラドックスにて示されるように、宇宙の端での素粒子の相互作用の結果は、反対側に飛んで言った素粒子の状態を「相互作用なし」に決定してしまう。
瞬時に、光の速さを越えてである。

これは、何を意味しているのか?

人間をはじめ、一元論で捉えうるのならば、「こころ」も一元論的に説明可能であるのならば、「こころ」の状態変化は、宇宙全体の「どこか」の素粒子の状態と密接に結びついていると考えざるを得ないということである。
※07.03.15 06:15補足:「どこか」の素粒子
限定された意味での「どこか」ではなく、「ありとあらゆる」といったほうがいいかもしれない。限定された「特定の」であれば、科学的に「どの」を検出可能なわけだが、下記「ランダムノイズ以下」という概念からも明らかなように、「特定の」ではありえない。もっと端的に言えば、「ビッグバン」にてあらゆる物質が「最初」にて結びついていたのなら、そこから分裂・派生した「物質」は、「何らかの関連」を持っていることは明らかであり、「全体」の内部にて相互に関連を持っているがゆえ、「関連がない」ごとくに捕らえられるわけである。
そうして、「最大限」ランダムノイズ以下で無ければならない。。。
※05/12/16 05:20注
ランダムノイズ以下という制約がもたらされるのは、客観的実験系において、制御不可能な項目として残ってくるものが、熱力学的ないし量子力学的なランダム性だからである。すなわち、主観側を極力排除した結果制御不可能なものとは、排除したはずの主観側を含めた実験系の外部であり、それら「全体」との量子力学的な相互作用(シュレーディンガー方程式での重ね合わせ)が、実験系内部との相互作用の結果、ランダム性が付与されたと考えるべきでしょう。

なお、量子統計力学というのがあります。
量子力学の時間発展の双対性と統計力学(最上嗣生、理化学研究所)
homepage3.nifty.com/mogami/articles/irrev.pdf
京大数理研共同研究「量子解析におけるミクロ・マクロ双対性」
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/rims0511.htm


もし、そういう仮説を受け付けられないというのであるならば、二元論を信じる(すなわち、物質をすり抜け、時空を行き来するような「たましい」の存在を肯定する)とかしなければならなくなるのでは、ないだろうか?※注1

※基本的な考えは、過去の記事
私の考えの「にこごり」。。。
「にこごり」の続き。。。
などにて記述しています。。。

※注1
05/12/16 08:55
よくよく考えてみたら、多世界解釈の「多」の字も出す必要がなかったんですよね。。。
前提条件とは、「物質一元論」「シュレーディンガー方程式に全てが縛られる」だけ。
で、上記の仮説を否定するということは、
1.物質一元論を採択しない
2.全ては、シュレーディンガー方程式に従わない。
の、少なくとも、どちらか一方を選択する必要があるのではないか?というのが、私の提示です。


※05/12/16 23:55補足
「最大限」ランダムノイズレベルについて
、「全体」が量子への着弾点に影響を及ぼすとしたときに、「こころ」が物質に対して全く何の影響をももたらさない状況を考えた場合、「こころ」は、量子の着弾点に対して何の影響ももたらさないであろう。。。
「こころ」が物質に対して全く何の影響をももたらさない状況とは、「何も考えない、何も思わない」時もありうるし、物質と相互作用しない状態での「こころ」、すなわち、相互作用しない二元論的な「こころ」を想定しえた場合に相当するであろう。。。

by kisugi_jinen | 2005-12-15 22:16 | 思考。。。 | Trackback | Comments(0)
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。

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