封筒のパラドックス。。。3。。。
前回示した、2経路からの期待値計算ですが、「はじめに総額ありき」の経路が妥当であることは、以下の無限への発散問題を考えれば明らかでしょう。
総額を3Sとする。 Sと2Sの入った箱の片方を開けたときの金額がAとしたとき、反対側の箱の期待値は、「もう片方の箱の期待値」からの経路で直接計算をすると、 (そうして、p=q=1/2という確率を箱を選択する確率かのごとくにごまかしてしまうことで) A x 1/2 x 1/2 + A x 2 x 1/2 = 1.25 x A となり、必ず1.25倍になる。 すなわち、片方の箱を選択した途端に、他方の箱の期待値が1.25倍になってしまうわけである。 そのため、「他方の箱がいい」と選択を変えた途端、もともと選択していた箱の期待値が更に1.25倍になるため、「もし、箱を開けない場合には、交換の回数を無制限とする」とし、選択の回数をn回とすれば、 期待値は、1.25のn乗→∞(無限大)へと発散してしまうことになる。 このことは、総額の期待値を∞へと発散させることと等価になる。 ※05.11.25 04:12追加 逆に、総額の期待値から計算することにすれば、上記発散は決して起こらないだろう。 また、総額が決定されてから後の実施で、かつ、箱を開けるのは1回限りであること、さらに、一つの箱を開ける前には「どちらの箱を選んでも等価」という前提条件があることからも、総額の期待値を先に決定する経路を選択した場合に現物の値と推測の値とが等価になる(ように設定した)ので、理想的な期待値であると思われる。また、一回限りの試行での話しなので、現実的にも、「開けた箱の中身」のみで、pとqとを推測可能な範囲におさめるしか手立ては無いだろう。 さて、この手のパラドックスにおいて、「p,qおよび総額が不明だ」などという理由から、計算可能な項目のみを全て用いて予測できるかのごとく扱うとき、ゼノンのパラドックスと同じことに陥っている様に思われる。 ゼノンのパラドックスは時空間の無限分割を対象としているが、結局のところ、知の絶対優位性に立脚すれば、時空間は無限分割可能だと思われるという概念(知的切断面)に陥るところにゼノンのパラドックスの本質があるとした。 今回の問題では、一回のみの試行にも関わらず、明示されていない総額は無尽蔵にあるという概念(知的切断面)に陥るのと同等の概念にてp=qという想定が可能なわけであり、一回のみの試行では気づき難い所に、ゼノンのパラドックス同様、知の絶対優位性への問題点が隠されているように思われる。 さらに、今回のような問題におけるパラドキシカルな状況への落ち込み傾向は、ボトムアップ的に既知の状況から全体を推測する方向にて、無限大への発散(資金は無尽蔵)という方向へ向かうわけで、なんだか経済界での投資関連(特に、株の売買など、架空の取引)に似た状況を思わざるを得ない。 個と全体とを結びつけるとき、無限大・無限小への発散・収束という概念に陥る危険性が常に付きまとっている。抽象概念を扱う数学と異なり、物理学の世界では、こういった無限という概念を慎重に避ける傾向があるように思われる。「何故なのか?」といったとき、無限大に対しては「総体が既に決まっている」という概念が境界を形成し、無限小に対しては「プランク定数」という概念が境界を形成する。
by kisugi_jinen
| 2005-11-25 00:51
| つれづれ。。。
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Tracked
from 来生自然の。。。
at 2006-10-14 09:21
タイトル : 封筒のパラドックス。。。4。。。解説偏。。。
封筒のパラドックス。。。 封筒のパラドックス。。。2。。。 封筒のパラドックス。。。3。。。 までの3回にわたる投稿にて、1回目での記述 さて、現物の100万円だけに着目すると、これがSなのか2Sなのか不明だけれども、「総計の期待値」(3)は計算できる。 (S+2S)/2=1.5S が 100万円 すなわち 「総計の期待値」(3)は、3S=200万円 ということは、「残りの箱の期待値」(4)は100万円になってしまう。。。 が、理解しにくいという指摘が多かったので、図を交えた説明を付...... more
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