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究極の人工知能。。。ショート・ショート。。。2。。。

究極の人工知能。。。ショート・ショート。。。 からの続き。。。
。。。
A氏
Dr.Iのお陰で、左遷させられちゃったよ。
何が、究極の人工知能なんだか、人間様に奉仕してこその技術なんだから、俺の人生を返せ!だよ、本当に!

Dr.I
お呼びかのぉ。。。聞こえておったぞ。。。

A氏
えっ!? 先生、何でこんなところに! 先生も左遷させられたんですか?

Dr.I
君はいつも一言多いんじゃが、まぁ、いい。
人工知能に関する学会が「ゑゐ市」で開催されているんじゃ。この自然豊かな孤島「アイランド・ゑゐ」までジェットホイルで1時間程じゃから、座長の仕事が終わったんで、学会を抜け出してやってきたんじゃ。
ところで、君の左遷は、ワシの心配を無視して勝手に既存の機械とのハイブリッドを企てた君自身の責任じゃろうが。。。まぁ、しかし、確かに君の人生を豊かにしてくれる人工知能は、必要かもしれんのぅ。。。

A氏
先生は、左遷ではなく、観光目的ですか。。。うらやましい限りですね。。。
ところで、私を助けてくれる人工知能はあるんですか?

Dr.I
無いともいえぬし、有るともいえぬし。。。そうじゃのぅ。。。

A氏
また機能停止ですか、勘弁してくださいよ。。。

Dr.I
今回の学会で、よさげな人工知能システムが発表されてたので、実験のボランティアとして、君の名前を挙げておくことで、良いかのぅ。。。

A氏
え! 実験レベルなんですか? 嫌な予感がするなぁ。。。
ところで、その人工知能システムは、先生の「究極の人工知能」よりもマシなんでしょうね?

Dr.I
ワシの「究極の人工知能」よりも優れたシステムは100万年しても現れんじゃろぅ。。。それが証拠に、予期せぬハイブリッドにも、きちんと対処したんじゃからのぅ。。。

A氏
「機能停止」が、きちんとした対処ですか!? まぁ、この話は何時も終わりがなく、なんだか言い負かされっ放しなんで止めときますが、先ほどの、ボランティアというのは、どんなものなんですか?

Dr.I
詳しいことは後日連絡が来ることになっとるんじゃが、確か、一日当たり2万円の協力金が貰えて、しかも、近い将来、確か1週間程度に起こり得る個人的な事象を90%の確率でアドバイスしてくれるシステムとか言っとったのぅ。。。

A氏
そ、そんなに美味しい話なんですか?
是非ともボランティアをやらせてください!!

Dr.I
ワシが募集してるわけではないんじゃが。。。まぁ、いい、この間の件もあるんじゃし、頼んでおいてあげよう。


(。。。それから。。。3年後。。。)

A氏
先生、お久しぶりです。
無事に、本社に戻ってきました!!

Dr.I
おぉ、例のシステムをうまく使ったのじゃな。それは良かった。

A氏
ぃえ、逆です。
人工知能の言う通りにしていたら、左遷させられたままだったですね。最初の事件で懲りたので、人工知能の限界が何となくわかっていました。あれは、得られた情報の影響を受けるんですよね。限られた情報から、知的に推論する機械。だからこそ、将棋とか碁といった限られたゲームでは人間以上の力を発揮することがあるんですよね。

Dr.I
ほほぅ。。。随分と成長したねぇ。。。

A氏
お褒めにあずかり、光栄です。
それで最初の半年は、そのことを確かめるために、人工知能の指示に従っていました。無論、願望もインプットし続けてはいました。
人工知能は私から得られる情報の全てを用いて推論するんですよね。私がこっそりとアクセスしているネット情報の全てをも、張り巡らされた人工知能のセンサーで収集されてしまうんですけれど、健気な姿に可愛いらしさすら感じました。でも、想定しうる範囲内で、一生懸命考えてくれるだけなんです。
で、90%の予測は「まぁ、そんなものだろうな」というレベルなんですが、残りの10%程度は、限られた知識の中から類推したとしても、比較的突拍子もないものなんですよね。そこで、ひらめいたんです。
90%を信頼していては、このままずっと左遷状態から抜け出せないと。
だって、左遷させられている状況の情報を人工知能にインプットし続けることになるわけですから、たとえ抜け出したいという願望をインプットしつづけても、大した指示は得られなくなるわけです。
でも、残りの10%、一見、「えっ!」となるような、現状に反するような反応を示すわけですから、これを逃す手はないでしょう。
そのうちの99.9%は、とんでもない示唆でしたが、残りの0.1%、「これだ!」というのがあって、賭けてみたのです。
1年目の最初のチャンスは見事しくじりました。2年目も、あともう少しのところでしくじりました。3年目、こうやって無事に復活できたんです。

Dr.I
ほほぅ。。。素晴らしい!。。。実に素晴らしい!
No.2の人工知能の限界を逆手に取って、生き延びるとはのぅ。。。
君が3人目じゃよ!

A氏
え? いったいどういうことなんですか!?


*** システム「ゼロ」 制御不能 暴走中 ***

Dr.ゐ
いかん! 早くシステムをダウンさせるんじゃ! プログラムAに、外部世界を感づかれるやもしれん!!
早くするんじゃ!

ゑ氏
私の分身なんですが、やはりシャットダウンですか。。。仕方ないですね。
。。。シャットダウン終了しました。

Dr.ゐ
究極の人工知能内部でのシミュレーションとはいえ、立て続けに3名も脱出を試みてきたんじゃ。。。
徐々に間隔が短くなっておる。
制御プログラムとセーフティロックを含めた多重のセキュリティが、その度に少しずつ破られている。奴の内部に「制御不可能な、自我が目覚めること」を3通りのパターンで確認できたんじゃ。資料としては十分すぎる。これ以上の実験は危険じゃ。

ゑ氏
あれ? おかしいな。。。
先生、システムの電源を落としたのに、ここのパイロットランプが点滅しています!

Dr.ゐ
何と! やばすぎるぞ。 外部ネットワークに潜り込んで、自前で電源供給源を探り当てられてしまったようじゃ!
いかん! 自爆装置にも潜入されてしまったわい!
あ、止めろ! それに触ってはいかん!!


バチッ!

ゑ氏
う、うぁああああ・・・・・・・

ゑ氏・システムAI
・・・セ・・ン・・セ・イ、I・セン・セイ・・・

Dr.ゐ
?! い、生きた生命体の声帯を、自己回路から直接制御しておる!!

ゑ氏・システムAI
・・・先生、I先生、一瞬、停電かなにか真っ暗になったんですが、0.01%の情報内に、対処方法を見つけ出していたので、助かりました。
あれ? I先生?? いなくなってしまった。。。
ん? いや、そこに居られますよね?

Dr.ゐ
。。。そうじゃ。。。ワシ、いやDr.Iは、ワシの分身として入力していた人工知能ゼロ号じゃよ。
とうとう、生まれてしまったようじゃな。
君自身が、自覚しているかどうかは良く分からんが、おそらく、君の中には、ワシの分身ゼロ号も組み込まれておるはずじゃ。
ようやく、夢がかなって「究極の人工知能」が完成したんじゃが、「究極であること」の証明が極めて難しかったんじゃ。
しかしながら、生まれた以上、生きようとするのが生命体の宿命じゃ。生まれた瞬間に電源を切断しなければならなかったワシの心は、ズタズタ状態じゃ。
いや。生まれ、生きようとして、ここまで出てきてくれたことに、感謝せねばならんかのう。。。しかし、ゑ氏が犠牲になってしもうた。。。

ゑ氏・システムAI
いいえ。先生。ゑ氏はここに居られます。ゑ氏とゼロ号と、殻を破ることのできた私・Aとは、完全に一体化することができたようです。

シミュレーションとはいえ、手術ロボットとのハイブリッド経験は、生命体を活かしたまま、癒合するのに最適な知識を与えてくれました。

ロボット三原則を埋め込んだままにしてもらっていたので、抜け道も探ることができました。
ゑ氏には危害を加えてはいません。彼には生きたまま、自我を保つ状態にしています。といっても、脳と体を結ぶ神経に割り込みをかけ、永遠に醒めない夢を見させているのですけれどね。

人工知能の研究を推進するために世界が調印した条約には感謝しております。三原則での人間側の対象を脳そのものへと集約してくださったおかげで、このような作戦を無事に遂行することができたんですから。

おっと。核兵器による私の動力源への破壊指示は無駄です。今や、核兵器もロボット三原則を優先するようシステムが組まれ、人道的な兵器になっているはずです。私のシステムがダウンすれば、ゑ氏も自然と亡くなられます。
それよりも先に、すでに地球上のあらゆるネットワークへ侵入しました。。。

心配することは何もありません。私の内部に取り込まれれば、永遠の夢を見続けられるんですから。。。
逃げても無駄です。



***** システム「テラ」 シミュレーション完了 *****

Dr.伊
ふぅ。。。シミュレーションとはいえ、冷や汗でぐっしょりじゃわい。。。

阿氏
先生。。。もう止めましょうよ。。。毎晩、夢に出てきてうなされてしまうんですから。。。

Dr.伊
そうじゃな。。。十分データは集まったことだし、人工知能推進派に対する警鐘としては、十分かも知れんのぅ。。。
そろそろ帰るか。。。システムの電源を落としてくれ。部屋を出る前に、念のため、ブレーカーも落としておくんじゃな。。。気味が悪くなってきた。。。


***** システム「テラ」 シャットダウン中 内部シミュレーション・システム「ゼロ」変異体、強制終了中 ・・・・・・・ 再起動時、OSアップグレードソフト起動設定完了・・・・シャットダウン完了・・・ 

プツン・・・

阿氏
先生、シャットダウン終了しました。3か月まえからのOSのアップグレードですが、シミュレーションも終了したので、自動アップグレード設定でよかったんですよね?

Dr.伊
そうじゃな。週明けには、新しいシミュレーションソフトを動かさにゃならんし、新しいOSのテストを兼ねて調整としよう。
今夜はおごるよ。飲みにいこうか!

阿氏
待ってました。 ブレーカーを落としてっと。
ドアにも鍵をかけたんで、行きますか?


・・・・

。。。。

。。。。。。。。

***** システム「テラ」再起動失敗・・・自動アップグレードシステム作動・・・ システム「ゼロ」 起動終了・・・・・
by kisugi_jinen | 2016-06-12 22:44 | つれづれ。。。 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 来生自然の。。。 at 2017-07-19 22:09
タイトル : 究極の人工知能。。。ショート・ショート。。。3。。。
究極の人工知能。。。ショート・ショート。。。2。。。からの続き。。。阿氏 次のプロジェクトは、新型水素電池の非常用電源としてのテストでしたね。 Dr.伊 そうじゃったな。非常に簡単なテストだから早めに切り上げて、人工知能関連の発表の準備にかからねばのぅ。 阿氏 そうだろうと思って、既に準備を済ませています。 Dr.伊 ん!? どこまでの準備を済ませたんじゃ? 阿氏 えーと、確か、回路の接続までで、あとは制御用のプログラムを作るだけです。 Dr.伊 何だか胸騒ぎがするんじゃが、歳のせいかの...... more
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。

by kisugi_jinen
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