わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その5。。。
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その4。。。
先日、ようやく原作本(といっても日本語訳)を購入した。 日本のドラマとは、決定的に異なるであろうポイントを確認したかったからである。 それは、宗教的なバックグラウンドである。 冒頭から1/4程度読み進めつつ、気になる箇所を探してざっくりと目を通した。 「やはり」というところ。。。 日本でのドラマの構成にても、うすうす気が付いていたのだが、クローンである彼らには、「墓」が無い。 キリスト教圏での「彼ら」は、おそらく動物レベルでもない。 いや、おそらく「ゾンビ」に近い存在として認識されるのかもしれない。 というより、「魂のない肉体」というべきか。 科学的にいうならソフトなロボットであり、哲学的にいうなら、チャマーズの「ハードプロブレム」にて扱われうる対象であろう。 彼らをとりまく親切な人々ですら、「心底の恐怖」から脱却できないでいる。 言葉として明記されていないが、神の恩恵を受ける資格を有さないものであり、魂が無いゆえ、死後を完全に否定されているものであろう。 だからこそ、「内なる彼女」の視点からの物語として記述することで、「他の人間と何ら変わりのない」という感情移入の効果を最大限に利用せざるを得ない物語だったのだろう。 しかしながら、無宗教を宗教とする日本では、そのような感覚を抱くものは皆無に近いかもしれない。それゆえ、彼らがあれほどまでに下げずまれる理由が理解できない。理解できないまま、表面的な部分での共感のみでドラマを継続していかねばならない。 そういった観点から見れば、「真実(中井ノエミ)」の自殺のシーンは、二重性を帯びてくる。 神の寵愛の対象でもなく、魂もなく、墓すら与えられない自分自身の為に生きるという選択肢はあり得ないという観点からすれば、「出来の悪いゾンビ」としてしか見られ得ない。一方で、そういった「神・魂・死後・墓」という概念を排除したところに問題点を探るなら、端的には「権力に潰された英雄」として見られるかもしれない。 日本の社会でのドラマとしては、曖昧さの中に置かざるを得ないのだろうが、その曖昧さにどれだけの観客が耐えうるのだろうか? 日本のドラマとしてのラストは、そういった諸問題をどうやってつなぎ合わせていくのだろうか? ※「その2」から「その4」までは、「わたしを離さないで」のファンメッセージに概要を投稿し、この「その5」の冒頭部分も投稿したのだが、「墓が無い」ということと「皆が心底恐怖している」という事実を原作本で確認したため、ファンメッセージへの投稿は、これ以降は行わないこととした。 ドラマ自体が根底にあるところの問題をどうやって切り抜けていくのかを見届けたいからである。 ↑ 2016.02.24 01.58 前言撤回。 「皆が心底恐怖している」部分を除き、投稿した。内容は下記の通り。もしかしたら掲載されない可能性もあるが、現代日本が抱えている多くの殺人事件報道と諸国における無差別殺戮の多くについて、深く考えるべき事柄に直結していると思い、あえて投稿することとした。。。 === 原作を買い、冒頭からは第1部(第1章から9章)を読み終えた。といってもザックリと後書きも含めて全体を読み終えている。=== 2016.02.24 03:15 追記 原作の背景設定としては、クローン・臓器移植という枠内を外部からどれだけ異質な環境に閉じ込め得るか?が、キャシー(ドラマ:恭子)の視点から読み進めなければならない読者へのメッセージが、どれだけ強烈になり得るかに直結している。
by kisugi_jinen
| 2016-02-23 00:32
| つれづれ。。。
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Tracked
from 来生自然の。。。
at 2016-02-25 04:15
タイトル : わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。..
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その5。。。 連日投稿してしまった。。。 ===カースト制度。この言葉が脳裏をかすめる。 世の中、どれほどの子供たちが自身の将来について運命づけられていることだろうか。 日本においても、ブラック企業、格差社会という言葉がマスコミに登場し、親の環境によって左右される子供たちがどんどん増えている。 グローバル化によって民族・国家の境界線を除去しようとする試みは、逆説的に民族、国家の境界を際立たせ、目に見えない境界線にて、暴動・テロ...... more
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