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2017年 07月 09日 ( 1 )
竹田現象学とディープラーニングと。。。人工知能の空気を読めるのか?。。。
何の脈絡もなくつながっていくような言葉はない。。。
孤立した単語が一連のものとして認識されると同時に立ち現れる認識。。。

現在、ディープラーニングが人工知能の核となっている。有名どころでは、29連勝した将棋界の若きホープ、藤井聡太四段の指し手と比較された将棋ソフトとその解説。
皆気づきつつあるだろうが、ディープラーニングにて得られるのは「結果」だけであって、思索過程を垣間見ることはできない。

なぜ、ディープラーニングを用いると、途中の思索過程が人間に理解不可能になるのか?

実を言えば思索過程を垣間見ようとするとき、ディープラーニングを用いることができないわけではない。

その昔、人工知能技術は幾度か挫折した経緯がある。

そもそも人間の思考・思索と脳の構造・機能を模倣しようとしたために挫折している。
なぜかといえば、人工知能に常識を持たせることが不可能に近いとプログラマーが理解したからである。

実のところ「なぜかといえば」以降の理由と前段の「挫折」との関係が分からない方々がおられることを想定している。このことこそが、タイトルの単語の連接と密接に関連している。

旧来の人工知能は、「言葉」という「記号」を、コンピューター内部の「0」ないし「1」の組み合わせで表現し、複数の記号(「言葉」)を、「関係」という「言葉」(0,1の記号)にて結び付け、知識体系として内部に持たせようとした。
ようするに、人間が理解可能な状態を、記号列にてコンピューター内部に表現しようとしたわけで、初期の人工知能研究は「セマンティック・ネットワーク(意味ネットワーク)」と呼ばれる構造が主流であった。

(少し専門的すぎるので、===で挟まれた事項は読み飛ばしてもOK)
==========
具体的には、
1.新たな知識を加えるとき
単語や画像といった「オブジェクト」【点】が外部から入力されたとき、それまで蓄えられた知識に(意味ある)「関係」という【線(専門用語では有向、無向グラフ)】で結び付けていく操作を、入力者との対話にて、人工知能内部で自動的に行わせ、構築していく。
2.質問に対する答えについて推論をさせるとき
与えられた言葉や画像といった「オブジェクト」を構築された意味ネットワーク内部の知識(オブジェクト)と照合し、類似した項目に関連する「関係」を踏まえて質問を繰り返し、「質問」に対する「答え」を導き出す。
などといった工程を踏む。
(以上、初期の人工知能の戦略)
3.(いわゆる第五世代以降、ディープラーニングまでの期間)入口と出口を規定し、途中の思索過程を人工知能にて処理する方法
「手書き文字」とか「将棋の盤面」とかいった一定の入力情報(入口)に対し、求めたい結果として、たとえば「文字コード」とか「次の手の評価値」を出力する(出口)システム(「閉じた世界」)を考えるとき、途中部分について、神経細胞のようなネットワークにて対応させるシステムが主流となった。
内部で「どうして、そういった結果となるのか?」を解析しやすいように、3層構造のパーセプトロンといった神経細胞を模したシステムや、ボルツマンマシンといった、焼き鈍しを模倣し、データ空間での極小(ないし極大)と最小(ないし最大)の値をとる地点を探索するシステム等が考案された。さらに、固定されたデータセットに対し、遺伝的変異という概念を組み入れたりと、様々な工夫がなされてきたが、「理想的な入力データセット」に対し「求めたい理想の結果」が出力されるようにシステム内部の神経を模したネットワークの結びつき度合(重みづけ)等を調整する必要があった(いわゆる「教師信号」)。
なせなら、機械に入力されるデータコードは、人間が恣意的に区分けし、重みづけしたデータであり、求められる出力についても同様だからである。コンピュータ自身が区分したり重みづけしたりできるのは途中経過のみで、しかも、人間が解析可能なレベルに制約されていたからである。
4.ディープラーニング
簡単に言えば、上記、3の段階での「内部」に対する制約を取っ払ったシステム。ただし、入力情報と出力結果に対しては、恣意的な制約が加えられている。たとえば「音声入力」に対し「ネット検索する単語列」とみなすSiri等である。ここで重要なのは、「内部」での処理についてである。入力と出力について、あらかじめ目標(ゴール)が決まったなら、適切な機械学習にて応答精度を高めるというステップがどうしても必要不可欠である。このとき、ブラックボックス化した「内部」では、多くの入力データ(たとえば多次元データ)に対し、ある特定の出力(たとえば特定カテゴリーの複数のランクの値)を求める場合、統計学的な多変量解析での判別分析のような手法をとることになる。というより、入力データを加工して、特定の結果に結びつくような「判定」を出力させるには、いかに精度よく統計処理が行えるか?ということと同値である。
たとえば、画像から「特定の動物」を抽出するには、あらかじめ「特定の動物」という画像データをディープラーニングにて学習させるのだが、画像からの一般的な特徴情報、たとえば、境界抽出にて得られる形態情報、濃淡の分布をフーリェ変換して得られる画質関連の情報(斑点や縞模様等の2次元的な方向性と間隔情報等を含む)が蓄積されていく。多数の画像にて学習させていくと、これら多次元情報に対し、一定の変動幅を含む情報(統計学的な「平均値・最頻値・中央値・標準偏差」等)が増えていき、「別の動物」との区分や、背景画像との区分が可能なレベルに達したとき、任意の画像から「特定の動物」を抽出可能になるわけである。
ここで重要なのは、多次元のデータ空間での「次元」は、「統計学的に扱いうるデータ」にすべく、恣意的にならざるを得ないという点である。入力段階で「画像」なら「画像」と制約されるということである。
==========

実のところ、意味ネットワークを人工知能内部でゼロから構築することは不可能だということに、当時の技術者たちは気が付いていた。なぜなら、人間側での思索にて「言葉・画像」から連綿とした「意味」の鎖が「自然と」手繰りだされること、そうして、それらが人類共通の「常識的なつながり」として無意識のうちに使われていることを、理解したからである。それら「常識」につながれている諸々の事項は、「言葉」や「意味」といった記号化可能な「閉じた世界」にとどまっておらず、外部の「全て」と、連綿と関連している(すなわち「開いた世界」である)ため、人工知能内部にゼロから構築することが不可能だったからであった。

言葉に関連した現象学的な取り扱いは「竹田現象学」に詳しいが、そもそも人間の脳および身体の構造、そうして関係し続けている(切り離されえない)外部世界という人類共通の基盤との関連性を抜きにしては、扱えないということと同義である。

言い換えれば、ディープラーニングは、人類共通の思索でいえば、無意識レベルでの思索、言語以前の「わかるよね」とか「空気を読め」といったレベルの感性的なレベルに近いということである。
2017.07.20 02:55 追記
あくまで、コンピュータシステム内部の構造と関連して「現象学的に立ち現れる」状態というべきもの。構造に依存した電磁気的な揺らぎと見做すこともできる。もし、内部構造が、人間の脳を模したものであったなら、脳波に相当するレベル。
ようするに、ディープラーニングで得られる結果について、人工知能内部で「どうしてそうなる?」ということを感覚的・感性的に理解するには、人工知能の構造そのものを人類の脳および脳機能と類似の構造にする必要があるということを意味している。
もし、旧来から目指していた人間の脳を完全に模倣しつつ、ディープラーニング可能なシステムが構築されたなら、人工知能は一つの人格として人の手を離れるかもしれないのだが。。。

将棋ソフトの場合、ディープラーニングを用いているとはいえ、盤面の棋譜の動きにルールがあり、指し手によって派生しうる膨大な手にも限界があるため、「閉じた世界」として扱える。逆説的に旧来の将棋界での「常識」は、指し手の自由な思索に制限を加えるため、ディープラーニング同等の思索が強いのは当然といえば当然である。
逆説的に言えば、藤井聡太四段の脳内には、人工知能を模倣しうる領域が構築されているのかもしれない。

(2017.07.11 04:00 第5世代からディープラーニングの詳細部分を中心に文中追記)

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by kisugi_jinen | 2017-07-09 04:47 | つれづれ。。。 | Trackback | Comments(0)



「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。
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