情と情報と状報と。。。
情報に「情」の字が含まれることに対して、ずーっと、疑問に思ってきていた。。。
辞書的な意味合いからは、「状報」ではないのだろうかと。。。 (以下、辞書的意味は広辞苑4版および大辞林 第二版から引用) 「じょうきょう」には、「情況」と「状況」の二つの漢字が割り当てられている。 辞書的な意味は、「その場の、またはその時のありさま。」である。 ただし、使い分けがあり、 「情況証拠」 「状況判断」となっている。 また、「じょうたい」には、「情態」と「状態」があり、 「状態」が「物事がその時そうなっている(特に外面からもそれと分る)ありさま。ようす。」 「情態」が「心のありさま。ようす。」となっている。 「じょうせい」にも、「情勢」と「状勢」があり、 「変化して行く物事のなりゆきやようす。」 「じょうほう」には、「情報」しか割り当てが無く、 辞書的な意味は、「事物・出来事などの内容・様子。また、その知らせ。etc.」となっている。 すなわち、完全には分断されていないにもかかわらず、「内的なものに関連する」場合、「情」の字が当てられ、「外的なものに関連する」場合、「状」の字が当てられているように思われる。 この場合の「内的・外的」は、心に対してである。主体者側(受け手側)の内・外に用いられることもあるし、相手側(発信側)の内・外にも用いられることがあるように思われる。 で、「情報」。。。 1.受け手側からすれば、外部から内部への方向性を有している。 2.受信者が意識的に得るという状態であれば、発信側の内部から外部への方向性を有している 。。。 ということなどを考えていくと、受信者側の意志・意識が関与してくるため、やはり「1」の意味合い(受信者側の意味合い)が強いということになろうか。。。 要するに「欲するところの(知りたいところの)もの、求めるもの」という主体者側の「意思」があってこそ、「情報」になるのではないだろうか?場合によっては、相手側の「意思に反してでも」という情況。そして、相手側というものがなくても、環境・対象に対して「感情移入」をし、あたかも「私が見聞きしているにもかかわらず、環境・対象からやってくるもの」(アフォーダンス理論そのもの)という感覚。。。 そして、主体者側が「求めるもの」でなければ、それは「情報」にはなりえないのではないだろうか? そういう意味において、現代社会において「情報の氾濫」という言葉は、本来的には「状報の氾濫」になるのではないだろうか? おそらく、通信網がこれだけ発達していなかった過去、「求めたくも無いじょうほう」などは皆無に近く、「状報」という言葉が消えてしまった、ないし生まれてこなかったというのが真相なのではないのだろうか? と、ふと、そんなことを考えてしまった。。。 。。。と、いうことで、次回は人工知能・コンピュータ関連になるか。。。 ※2006/08/17 06:20 読み返したところ、一部理解しにくいところがあったため下線部を追加しました。 ※2008/11/8 07:20 重要な補足 上記考察では、1.受け手側からすれば、外部から内部への方向性を有している。の二つのうち、「1」を中心に考えていますが、「2」も重要です。たとえば、鴎外に関する小野氏の記述を引用している「情報と状報。。。更なる検索結果。。。」にてとりあげている、大島氏の
by kisugi_jinen
| 2004-11-06 11:27
| 思考。。。
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Comments(6)
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from 来生自然の。。。
at 2005-04-22 19:09
タイトル : 情報と状報。。。更なる検索結果。。。
2004/11/23 1:17一部リンク追加:「関連する文」 私が「情報」に関して疑問を感じたのはずいぶん前だが、 情報とは何か・生命と非生命の違いに関連する文から深く考えるようになった。辞書には「状報」は載っていなかったが、ネット上では有意義な検索結果となった。特に、小野 厚夫氏の 情報という言葉の歴史 明治期における「情報」と「状報」 情報小論 などは、これ以上の状報が無いという位の収穫であった。 この中には、たとえば、 鴎外は『戰論』で同じ Nachricht を「情報」と「...... more
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愁也
at 2005-04-22 12:34
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とても勉強になりました。「情」と「状」の違いの考え方もおもしろくわかり易かったです。ところで僕がここに来た理由は「状報」ということばを探しているからです。検索でたまたま発見できました。良かったです。っでなぜ「状報」を探してるからというと、なにやら昔(戦前?)は「状報」ということばを使っていたという噂を聞いたからです。おそらく戦争中「状況報告」という意味合いで使っていたとか・・・・。じゃいつから・どうして「情報」となったのかを知りたかったんです。もしなにか知っていましたら教えてくださいm(u_u)m
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kisugi_jinen at 2005-04-22 18:50
愁也様
コメントありがとうございます。 戦時中の「状報」はこのブログで取り上げています。 http://jinen.exblog.jp/m2004-11-01/#1105304 から引用している、 http://ccs.cla.kobe-u.ac.jp/Jouhou/kyoukan/Ono/joho_rep/910315.html http://ccs.cla.kobe-u.ac.jp/Jouhou/kyoukan/Ono/joho.html などです。 お役に立てれば、光栄です。
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kisugi_jinen at 2005-04-22 19:00
と、上記引用の先に
http://ccs.cla.kobe-u.ac.jp/Jouhou/kyoukan/Ono/joho_rep/910100.html がありました。 こちらの方が、変遷について、より詳しく書かれています。
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kisugi_jinen at 2005-04-22 19:07
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君島浩
at 2010-12-03 07:45
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小野厚夫先生の意見のように、情報は情況報告を軍隊が略した用語だと思います。見たままの素材・全体が状況で、それに人間の長期記憶と照合して選択・意味づけしたものが情況です。頭という内面でそうしたスキーマができても他人には分からないので、他人へ伝えるのが情況報告です。このように認知心理学を使って説明することができます。ただし、次第に情況という言葉が使われなくなったようです。
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kisugi_jinen at 2010-12-09 22:36
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