EPR相関とBellの不等式と。。。5。。。
EPR相関とBellの不等式と。。。
にて記述した図を少し変えて示します。 この図で、背景が水色の水玉に変わっています。 分裂した粒子はエンタングルメント状態にあり、黄色の世界として緑色の世界から分離されているように見えますが、果たして、完全に分離されているのでしょうか? 外部と隔離するためには、「真空」を利用しなければならないでしょう。 でも、「完全な真空」はありえません。カシミール効果でも明らかなように、零点振動にて無数の粒子との相互作用を想定しなければならないからです。 エンタングルメント状態にある2粒子(2個以上の複数の粒子でも可)は、その始点と終点とで時空が対称であるならば、ネーターの定理から総和としての保存則を満たさねばならないでしょう。 1粒子の場合、保存則を満たすことに関しては、問題なく受け入れることができます。 しかしながら、2粒子以上がエンタングルしている場合、スピンの向きを含め、保存されうる状態量のうち、一方の粒子の状態の変動は、他方の粒子の変動に直結しているかのごとくに扱われる(というより、そのような一つの状態量として扱わざるを得ない)ということです。 すなわち、背景(水色の世界)との相互作用(経路積分の内の一つの可能性を選択することに相当)は、一つの粒子にのみ適応されるわけではなく、2粒子(ないし複数の粒子)の状態の「選択」に直結すると思われるわけです。 にもかかわらず、水色の世界は、黄色の世界のエンタングルメントに関する(緑色の世界にて観測される)実験結果に「何の影響も与えていない」かのごとくに振舞っているように見えます。 どうしてでしょうか? もう一度、実験系を見直してみると、緑色の世界は、黄色の世界の粒子の一つと相互作用し、「エンタングルメント」を破るように設定されています。(それゆえ、観測可能) もし、水色の世界で「エンタングルメント」が破られたならば、緑色の世界にて待ち受けている観測機器では、「エンタングルメント」に関する実験結果として引っかかってこないだけになるでしょう。 ようするに、 「黄色の世界は、エンタングルメント状態を(できる限り)保つように設定されている」 「緑色の世界は、エンタングルメント状態を破るように設定されている」 「水色の世界は、エンタングルメント状態に(できる限り)影響を与えないように設定されている」 と、なろうかと思います。 ようするに、「水色の世界」は、「黄色の世界」と「緑色の世界」とを「時空」レベルで結び付けていると同時に、「あらゆる可能性」を含んだ世界である故に、そうしてネーターの定理が成立しうる「対称性」を含んだ世界である故に、量子力学的な確率に対して、均質な影響を及ぼすと考えるべきなのではないでしょうか? 逆説的にいえば、ネーターの定理が成立しうる「対称性」を有する時空が存在するということは、量子力学的な確率が均質に生じる時空を意味することでしょう。 このことは、経路積分やファインマンのダイアグラムが、ネーターの定理と密接に関連していることからも明らかだと思われます。 緑の世界は、水色の世界と比較して、(黄色の世界における)ある一定の状態が選択されうるような不均質な時空を構成しているわけです。 ※07.02.02 03:35 補足 上記、「時空の均質性」≠「ネーターの定理での対称性」です。イコールではありませんので十分ご注意願います。強いて関係を書くなら、「時空の均質性」⊂「ネーターの定理での対称性」です。=== 一連の投稿 EPR相関とBellの不等式と。。。4。。。 EPR相関とBellの不等式と。。。3。。。 EPR相関とBellの不等式と。。。2。。。 EPR相関とBellの不等式と。。。
by kisugi_jinen
| 2006-07-19 04:30
| 思考。。。
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from 来生自然の。。。
at 2006-08-22 05:33
タイトル : 二つの量子力学的振動。。。真空ラビ振動。。。粒子・反粒子..
EPR相関とBellの不等式と。。。5。。。 までの一連の投稿でも記述したが、エンタングルメントを感覚的に理解(?)しようとすることが、量子力学の本質を理解しようとすることに繋がるだろう。。。 量子もつれ(エンタングルメント)が光子1つと電流(マクロ)との間で生じる現象を利用した回路が作られているようだ。 マクロな超伝導電流と単一光子の量子もつれ制御に成功 NTTでの記事 ここで、真空ラビ振動というのが出てくる。 量子状態が相互に振動しているというものである。 こ...... more
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from 来生自然の。。。
at 2008-08-11 05:50
タイトル : ネーターの定理とディラックの海。。。エーテルに代わるもの..
ネーターの定理。。。にて、「対称性が成り立つ・成り立たない=保存則が成り立つ・成り立たない」という性質を持つ時空間が想定され、通常「対称性=保存則が成り立つ」時空間内部に、「いま・ここ」を含む宇宙全体が含まれているとした。 その前提条件(というより、当然のこととして)ネーターの定理を、旧来の「エーテル」のごとくの存在とした。 このこととエンタングルメントとの関連性を指摘したが、その理由を付しておく。 1.空間的に十分離れた状態のエンタングルした2粒子(ないし2量子)を含む微少な空間は、「エンタン...... more
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from 来生自然の。。。
at 2008-09-06 00:26
タイトル : アニミズム?。。。
アニミズム。。。 いや、まさにそうかもしれない。。。 自然科学的な事象について、自然科学的な記述の正当性が確かめられるとき、「(人々の)意志」とか、「(人々の)恣意」とか、「(人々の)意図」とか、そういった概念は排除されている。。。 (いや、正確には、「意志・恣意・意図がない」と同等に扱いうる程度に「意志・恣意・意図が均質に・ランダムノイズレベル以下に」影響が及ぶ程度にしている。。。) (本来切り分けられることの決してない)対象そのもの(自然そのもの)が、自身にて、それら記述の正当性...... more
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from 来生自然の。。。
at 2011-05-03 05:33
タイトル : EPR相関とBellの不等式と。。。6。。。
※注:個人的な思索のメモです。専門家ではありませんので、記述内容についての真偽の保証はありません。 ※専門家の皆様、コメント等いただけましたら幸いです。 EPR相関とBellの不等式と。。。5。。。までは、「宇宙全体を一つの孤在系として扱いうる」という前提条件にて記述していた。この概念は多世界解釈に直結する。 また、この概念は、時空連続体として、宇宙をどこまで細かく分割しても同一の時空として記述可能という前提条件が暗黙裏にあるともいえる。 しかしながら、現在主流の概念は、M理論にし...... more
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