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トップダウンとボトムアップ。。。
個と全体。。。
情と知。。。

密接に絡み合うがゆえ、2重螺旋の様相を呈する。。。

自然災害や外敵といった個ないし共同体の「外部」からやってくる災難に対しては、境界「内部」の知的・情的団結と知的対策がなされてきた。

一見、旧世界でのイデオロギーが民族主義を押さえ込んでいたかのような錯覚に囚われるのも、上記「外敵」といった概念(知的切断面)が共有可能だからであろう。。。

さて、個々の心を取り囲む境界は、相互関連の程度・強さに応じて、ボトムアップ式に共同体という境界を作り出そうとする。
ボトムアップ式では、個の特性が最大限尊重されるであろう。

しかしながら、「個」を重視し続ける限り、共同体の方向はなかなか定まらない。ランダムノイズに隠れてしまって、うまく方向性が決定されえない。

どこかで、意思決定を主導する人が必要になってくる。

おそらく自然発生的な支配や政治の始まりは、ボトムアップ的で情的相互支配の強い個々の要請から始まったものであろう。。。

今回の選挙結果の方向生としては、共同体はそういったボトムアップ的な指導者を拒み、トップダウン的な指導者を好んでいるかのようである。

文頭近くに戻るが、トップダウン的とは、本来的には境界「外部」からの災難そのものに似ている。そうして、その背後には、トップダウン的というものが、知の情に対する優位性の幻想的・知的共有可能という状況があると考える。

たとえば、政治が実生活からの乖離を引き起こすという現象は、知の情を含めた全体の支配というトップダウン的な政治の方向性が、情を機軸とした個々の人々の関係性を知的に切断しようとするからに他ならない。

ボトムアップ的に求められる情的繋がりと、トップダウン的に与えられる知的切断面。。。
両者はそもそも繋がろうとするものと切断しようとするものである故に、同一の知的切断面を共有することは非常に困難なものと考える。
そういった相矛盾する拮抗関係(全体と個との対等な関係)が続いている間は、知と情のバランスが保たれているといえるのではないだろうか?

さて、トップダウンという側がボトムアップを凌駕した場合、すなわち全体が個を凌駕しようとするとき、情および個々との関係がうまくなされなければ、一見知的切断面が両者で共有されたように見えたとしても、本来の情が求めて行く方向性とは乖離した方向へと動き出す危険性が強くなるものと思われる。。。

上記概念を境界という概念から捉えなおしてみると、おなじ「境界外部」からの作用であっても、災害の場合には、知的にも情的にも「内部」は結びつき会うことができるものの、政治力の場合には、知的切断面が共有可能であるがために、知的(全体的)には内部であり、情的(個々)からは外部という状況が発生するということである。

さらに、知を有さない災害の場合には、情の関与もありえないが、知を有する政治力の場合、その背後には必ず情が埋もれている。そうして、トップダウンの情とボトムアップの情が両者の知的切断面で切れている場合、知的支配(養老氏の言うところの社会の脳化の極限)が進行していく危険性がますます強くなるものと考える。

すなわち、今回の選挙結果からは、世間一般的に言われているファシズムとかいった全体的なレベルでの危惧というよりも、当面の間は個々の人々の情への影響がさらに強く現れるように思えて仕方がない。。。

ただし、知の情に対する優位性が強くなり、情が知的切断され続けた場合、ファシズムへと進行する危険性は高くなると考える。

※このあたりの論述については、「世に倦む日日」の、新自由主義の「自由と必然の王国」へ - 「革命」と「ファシズム」 などを参考にしてください。(この投稿は、上記ブログ記事からトラックバックさせていただいています)

回避する手立ては、「外部」と見做されるものとの、「切断されない情」であり、知・情のバランスであろう。
ただし、知が情に対して優位であるとき、「外部」という概念は知的にも情的にも2重の意味で切断される危険性が高くなる。それこそが、国対国、民族対民族という図式を生み出すのだろう。。。

知による争いに情による争いが追従すべきではないともいえる。。。
知・情の境界を越えるもの。。。更なる情の発動。。。
情の行方を静かに見守るしかないのかもしれない。。。

「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院)

※トップダウンとボトムアップについて
私が両者の概念を知ったのは、プログラミングをしているときであった。
扱いうる個々のコマンドの制約(コンピュータそのものの制約)がきつかった時代、小さなプログラム(BASICで32KB程度を一単位)であれば、多くの初心者プログラマーはボトムアップ式にて作成していた。
トップダウンという概念をbit(およびその増刊号)という専門雑誌にて学習してから、意識的にそういったプログラミングを試みてきた。しかしながら、トップダウン的に開発を行なおうとした場合、制約の多い環境(バグをも含む)では、「できる、できない」をも含めて、末端での機能に強く依存してしまうことが多くなり、結果的にボトムアップ式に組み上げねばならないことが多いことに気づいた。結果的に、トップダウンとボトムアップの両方からプログラミングをしていかねばならないことに気づいた。すなわち、仕様の決定→プログラミング→仕様の変更→プログラミング。。。といった具合に行きつ戻りつしなければ、最終的なものには仕上がらないということである。
昨今のプログラミング環境の劇的な変化は、トップダウン式に組み上げることが可能なまでに変化してきているようであり、多くの人を分散して専門職として雇い、巨大なプログラムの構築までも、可能になってきているようである。しかし、おそらく内部では、トップダウン式とボトムアップ式という相互のやり取りが局部的であれ、全体的であれ、なされているものと思われる。
最も但的端的なものは、バグフィックスであろう。
ユーザーからの問い合わせ、フィードバックこそが、最終末端からのボトムアップ的なトップへの状報伝達であり、場合によっては仕様変更への働きかけのきっかけにもなりうる。


※05.09.15, 08:05 一部追加、リンク追加、トラックバック元へのリンク追加、「世に倦む日日」への再トラックバック実行
by kisugi_jinen | 2005-09-14 07:11 | 思考。。。 | Trackback(2) | Comments(0)
Tracked from 来生自然の。。。 at 2005-09-16 08:57
タイトル : あっという間に。。。
息子の4回目の誕生日 兼 テロから4回目の記念日 兼 選挙の日 が過ぎてしまった。。。 私も、どんどん年を取って行く。。。 年月の積み重ねで築き上げられてきたもの。。。 多くの知識・技術・伝統は、ボトムアップを経て、積み上げられてきたもの。。。 歴史の中に生まれいずるということは、積み上げられてきた過程を、短期間の内にトップダウン的に「知」として吸収する必要性を求めてくる。。。 旧来の(私が経験してきた)教育課程では、いわゆる「詰め込み教育」ということが主体...... more
Tracked from 来生自然の。。。 at 2006-08-10 01:46
タイトル : 無常な結末にならないための、伝言ゲームに対する案。。。
民営化のツケと伝言ゲームと。。。で述べたが、末端での確認作業と状報(情報ではない)の伝達度とを確認するシステムが必要であろう。 早い話、ネットがこれだけ普及しているのだから、通達文書はネットでオープンにし、関連する下位レベルの各部署が、「通達した、下位部署の名称、年月日」を記入して、末端へと伝言ゲームを行なっていくシステムにし、さらに、実質担当者レベルでは「通達を受けた・確認日、実施した・実施日、実施しようとしたが不可能だった・その理由、通達を受けていない・確認日」などを記入して行くシステムを構...... more
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。

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