AX
守り人シリーズ。。。
守り人シリーズを断片的に読んでいる。NHKドラマで最初のシーズン全4回を見た後、最後の部分になる「天と地の守り人」三部を本で読み終えた。

反則技のような読み方だろうけれど、何の違和感もなく読み終えた。途中を埋める物語については、折を見て順に読むことになるだろう。

上橋菜穂子の生み出す世界には、違和感が少ない。物語をスムーズに滑らせる構成法は、あたかもスケートリンクの氷面をベストコンディションに調整し続けるプロフェッショナルのような感覚を覚える。途中からでも足を踏み入れた途端、違和感無くスーと気持ち良く滑っていく様な気分にさせてくれる。

そうして情と知の間を心地よくすり抜けていく。

絶妙にコントロールされた舞台背景には、王制や帝制といった社会構造が含まれるのだが、それらを成立せしめる根源部分にて、複数の対立し得る視点を知的に相同になる様に配置しつつ、微妙な情的バランスで緊張感を保つ状態にしている。あたかもスケートリンク氷面にそっと降り立った時に、そのままでは、どちらの側にも滑らない様に水平面を維持しつつ、スケーターの思いによって、どの方向へも滑り出せる様な、そんな感覚にさせてくれる。
物語の流れに沿った方向へ誘われるのではなく、自らの思いに沿って、そっと蹴り出すのを助けてくれる様な感覚。王制や帝制なんてあり得ないという先入観を抱いていたとしても、いつの間にか知的・論理的にあり得る状況へと置かれている。そうして、登場人物の情的な微妙な心の動きによって、どちらの方向へも滑り出し得る展開に持って行かれる。
おそらく、文化人類学的な思索背景にて精緻に設定させているのであろう。ある部分では明らかに象徴としての天皇制を維持している日本にも重ね合わされている。
全ての立場を網羅している訳でもないだろうけれど、どちらの立場にも知的に理解可能な状況に読者を置きつつ、ストーリーは情的な方向へ動かされていく。
無論、主人公たちのあり得ない回復力や、ファンタジー系の構成要素もあるのだが、それらをそっと除いてしまっても、成立しうるだけのバランス感覚である。
本当にとんでもない作品群である。。。
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by kisugi_jinen | 2016-05-11 06:17 | つれづれ。。。 | Comments(0)
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。
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