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わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その21。。。
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その20。。。

原作があり、映画にもなって、ストーリーの大半と結末のおおよそが分かっているにもかかわらず、これ程までに最終話を見たくなるドラマもない。

物語を成立せしめている分断が、純粋に感覚に基づき、かつ、決して証明され得ない「魂・心」の存在の有無に基づいている事も大きい。

「そんなの、常識でしょ」

そういって早々にあしらいたくなる分断基準。

常識:「境界の無さ」=「魂・心がクローンにもあって当然」という事なのだが、恵美子先生をも、クローン側に仕立て、「魂はないことにされている」と言わしめた為、成長した主人公達と共に「常識だろ」と詰め寄る先を見失ってしまう。あとは人間だとされるマダムや他の先生方に、詰め寄らざるを得ない。
子供達にとって、同胞の教員に裏切られ、出口を塞がれるのは、余りに救いが無いとも言える。
原作の方が逆説的に救いがあった。責める先が目の前にいた。が、「なぜ?」と何度も責め切れない。。。
ドラマではマダムがいたが責め切れない。。。
それこそが、相手の心を慮る(おもんばかる)という、最高の魂・心の状態だと、どうして恵美子先生は、教えてあげれないのか?
最終話の構成如何によっては、本当に救われない物語になってしまいかねない。。。

。。。。。。

「いや、私も実はクローン」、「え!俺も実はクローン」と、雪崩を来すように「クローン宣言」が次々続くと面白いかもしれない。しかも同一のオリジナルからの単一のクローンで、性別・容姿のみ無数に変える事のできる薬を、生殖能力を奪う際に子宮提供者の中にいる間に投与されているとか。

そうすれば、拒絶反応を意識せずに済む。

本来の人類は、生殖能力を欠いたクローンの大量発生にて、ほとんど絶滅したのだが、一人だけ生き残っていて、人類存続の為、クローン自らが、希少種保護の為に、自らの臓器を何千年と無く提供し続けているとか。。。

クローンにも「魂・心」のある事は常識なのだが、クローンにも格差社会が構成され、弱者のクローンからの複製については、「魂・心」は無いものとして扱うことに、皆が納得したとか。。。
。。。。。。

この物語の最大の欠点、いや、最大の功績は、生殖能力を欠いた臓器提供者を構成するだけで成立するバックグラウンドに、不用意に、いや巧みにクローンを織り込んでしまった事にある。

本来問題とされるべき、「境界の無いところに境界を発生させる」事を、あたかもクローンだからと言う隠れ蓑にて「差別は常識だろ」と、一瞬でも思い込ませつつ、「あれ?それって問題じゃあ無い?」と逆説的に考え込ませる手法が用いられていると言って、過言ではない。

しかも、主人公達の視点から逸脱することなく、決して俯瞰的な構図を取る事もなく、視聴者・読者は、主人公達と同一の地平から共に考えざるを得ない構成。。。

物語の全体が伝聞情報で構成され、ドラマでは真実を握る鍵を恵美子先生からも奪っている為、最終話まで引っ張り続けている。

そういった罠にはまり込んでしまった人が見るべきドラマなのだろう。
ドラマでは、そういった人々を救う出口を構成して欲しい。。。
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by kisugi_jinen | 2016-03-17 02:40 | つれづれ。。。 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 来生自然の。。。 at 2016-03-19 04:44
タイトル : わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。..
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その21。。。 最終話。。。 まずは期待を良い方向に裏切った内容に感謝。。。 イシグロ氏の原作から逸脱しないようにしつつ、ギリギリの攻防・葛藤の結果が結実したと言える。 しかしながら、懸念される多くの余波は、物語の構成限界故に、「外部へ」と向けられる。 クローンと外部という強引な二分法は、踏み込んだ内容を描こうとすればする程、境界線上の人々を二分する方向に向かう。 原作では病院や医療スタッフに関しては踏み込んだ記...... more
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。
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