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わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その14。。。
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その13。。。

日本人の多くは、優れた感情移入の能力を持っていると思う。しかしながら、イギリス人に、そういった能力がない訳でもないだろう。
そもそも、生殖能力を人為的に排除するといった、物語固有のバックグラウンドでもない限り、生まれ育った人間とクローンとを区別することが本質的に不可能であるにも関わらず、物語を成立せしめるために、両者の交換不可能性を確立せしめる強固な境界線を布石した作者。
車を運転することも自由にでき、高度な知識と情を必要とする介護もこなす。原作では、輪廻転生の話まで自由になされている。
法的な縛りもない。
ただクローンだということだけで、「蜘蛛を見るようにおぞましい」と、誰もが共通に感じることのみで区分される存在。
日本的な感性からは、決して理解不可能な設定条件。
強力な宗教的な背景こそが、両者の交換不可能性を成立せしめる。そこに置いては、仏教も輪廻転生もヒッピーも同じ穴のムジナレベルとしか見られない。
次回、恵美子先生が彼らに何を話そうとも、舞台設定を覆すような話には決してならないだろう。
どうせなら、「イシグロ氏によって、いや、(一神教の)神によって設定された条件を、覆すことはできないのです」とドラマの中で威厳を持って言い切って頂く方が良いのかもしれない。。。

ファンメッセージにても、ドラマの設定上のどうしようもない事務員、医者、医療スタッフに冷たい視線が投げかけられる。彼らも被害者である。最後の場面にて、被害者の全員が一丸となって、制度廃止の支援者として、立ち上がるストーリーにすべきだろう。

たとえ無理だとしても、少なくとも憲法や法律をも凌駕しうる力レベルでの説明が必要だろう。
何人たりとも分かつことの出来ない魂と魂の結びつきを「クローンには魂が無いと言われている。」とか言った伝聞情報のみで、簡単に断ち切れるのだろうか?

何度か記述してきたが、知的・論理的レベルに頼る「【こころ】や、【魂】の存在証明」は不可能なのである。

西洋では、魔女では無いことの証明のために、確実に死ぬことをあえてさせると言ったことが、当然のように行われていた時代があったという。

そういったレベルでのみ、クローンの、いや、人間の魂の有りようを評価しうると、本気で思うような人間に、日本人もなりつつあるのだろうか?

交換不可能な崇高なアイデンティティを有する級友を、自殺に誘い込む、交換可能な「精神的クローン」達。
「自殺などできないくせに、出来たら認めてやる」と言った状況を作り出している現代社会は、中世の暗黒時代に似通ってはいないだろうか?

彼らが反抗しようと、与えられた生を限界まで行きようと、物語の設定条件はびくともしない。
イシグロ氏は、運命として、そういった設定内をいかに生きるのかに、主題を置いている。
彼らが行うべきは、魂の有無とか、心の有無とかを証明することではない。

残りの二話。。。

どの様に進行するにしても、終了後、個々の視聴者の「こころ・魂の問題」として、引き継がれ無ければならない事だけは確実だと思っている。
。。。
いや、人類にある種の疾患が蔓延し、全人類の生殖能力が失われ、クローン技術とデザイナーベイビーに頼らざるを得ない状況を想定すれば、良いのかもしれない。
恵美子先生などは3,000年生き続けてきたとか。。。
優秀な医療スタッフはエリートの遺伝子を用い、提供者には、貧しい人々が切り売りしている細胞を用いていると。。。
全員が数種類のクローンであれば、血液型や免疫適応なども気にすること無く、相互の臓器移植は簡単になるだろう。
でも、そうなれば、似た顔だらけで気持ち悪いだろうな。。。
。。。
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by kisugi_jinen | 2016-03-07 23:55 | つれづれ。。。 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 来生自然の。。。 at 2016-03-08 23:13
タイトル : わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。..
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その14。。。 原作に忠実なままストーリー展開された場合、「おぞましさ」という感性のみで出口が塞がれてしまう。 クローンが受け入れられるためには、魂・こころの存在を自ら明かさねばならないというのであれば、中世の魔女狩りでの神明裁判そのものである。 いや、他人ならばなおさら不可能である。 「あなた方は、天使なのです。」 心安らかに臓器提供を受け入れれば、神に認められると言わんばかりの誘惑。 単に物質・クローンとして解体...... more
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。
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