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わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その10。。。
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その9。。。

前回、自身の記憶の曖昧さにて伝聞情報に落ち込んでしまった(笑)。

ドラマでの「壁は乗り越えるためにある。」は、ある意味、非常に象徴的な友彦の発言でもある。

は、正確には、恭子が言っており、「塀は乗り越えるためにある」だ。その直後に「変わらないね」というセリフが入るが、着実に変化していってることを、3人は確実に共有していることであろう。。。

さて、ドラマも佳境に入りつつあるところで、本ブログにて、この物語に触れた以上、あと2つの視点からの記述をしなければならない。

1.前野氏の「受動意識仮説」
2.宮崎駿氏の「風の谷のナウシカ(原作・コミック版・全7巻)」

である。

1.「受動意識仮説」と「わたしを離さないで」との関係
受動意識「仮説」そのものには否は無いものの、閉鎖的な思索を行いがちな方々にとっては、「仮説≒真実」という思い込みの結果、自己・アイデンティティを見失い、人間性という概念の否定と、全ての意識および主体性が機械的な反応としての「結果」にしか過ぎないという思い込みに陥ることになる。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6177884.html

このような人々が少なからず存在する以上、この手のドラマが負の方向へ全く影響を及ぼさないとは限らない。
そうして、負の方向へ導かれてしまった人と遭遇する人々にも一定数の割合で、そういった人々を差別的に扱う方が出てくる危険性もある。「そのように考える人々は、真に魂の存在しえないゾンビと同等だ」と。。。


2.「風の谷のナウシカ(原作)」と「わたしを離さないで」との関係
まず、クローン・臓器移植といった生命工学的なバックグラウンドは、風の谷のナウシカ(原作)にて深く・広く・重く扱われている。(幾度か滅びた後、ないし幾度か滅びる前という意味で)完全に異なる世界であるが故、現実との整合性を取る必要が生じていない。
しかしながら、そういった前世代からの生命工学的・知的な資材・遺産によって制約を受け続けている現世界の人々と共に歩むナウシカが、汚れと共に現世界を一度滅ぼすことで新たな生命を生み出そうとする前世代からのプログラムに対し、無謀な挑戦をし続けようとするときにナウシカが語る言葉は深く・重い。。。
私達は 血を吐きつつ
くり返し くり返し
その朝を こえて とぶ鳥だ!!

生きることは 変わることだ
王蟲も粘菌も 草木も人間も
変わっていくことだろう
腐海も共に 生きるだろう
(「風の谷のナウシカ」第7巻、ANIMAGE COMICS ワイド版、宮崎 駿、徳間書店)


「人間が機械やゾンビと違わないという極端な還元論的な思考への落ち込み」(極端な受動性)と。。。
「たとえ絶望しか感じ得なくても、その向こう側へ進もうとし続ける強い思い」(極端な能動性)と。。。

これらの2つの側面は、あまりに極端でもあるが、思い・心・意思を持つからこそ、常に両者の間を揺らぎ続けるともいえる。「わたしを離さないで」は、クローン達のみならず、取り巻く人類もまた、斜陽の中で受動性主体の人生を歩んでいるかの如くに感じてしまう。

ドラマの最後では、「真実(まなみ)」に共感して立ち上がる支援者もいれば、反論する人々もいるといった、混在した状況の中を、恭子が静かに歩み続けていく姿を描いてほしいものである。
by kisugi_jinen | 2016-02-29 22:45 | つれづれ。。。 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 来生自然の。。。 at 2016-03-05 01:35
タイトル : わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。..
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その10。。。 交換可能性と不可能性。。。 美和は人とクローンの間を生きたといえる。 美和は美和であり、恭子は恭子である。 「恭子になりたかった」という言葉の裏には、 「(魂の認められないクローンではなく、)人になりたかった」という切実な言葉が隠されていると同時に 「美和というアイデンティティの本質を見失う寸前だった」ところを、自らの言葉で回復することを意味している。 アイデンティティという交換不可能な魂の...... more
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。

by kisugi_jinen
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