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わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。ドラマ。。。
TBSテレビドラマ「わたしを離さないで」
http://www.tbs.co.jp/never-let-me-go/

ずいぶん以前(2005年)のカズオ・イシグロの作品で、映画化されたり、演劇化されたりしたとあるのだが、日本を舞台にドラマ化されている本編を見るにつけ、格差社会化、少子高齢化している現代社会の縮図を見ているようで息苦しくなる。
いまだ、原作を読んでいないので、機会があれば読んでみたいものである。

以下、第5話までを見た私見をまとめておく。。。

逃れることのできない監視システムを組み込まれた臓器提供のためのクローンという設定で、自身が提供者になる前に、提供したことで入院を余儀なくされる仲間の介護人を一定期間務める設定なのだが、臓器提供を肉体的・金銭的な物質レベルでの社会への貢献と置き換え、一定期間の介護人というのを先達としての老人介護と置き換えることで、現代社会での問題にも重ね合わせざるを得ない。

また、提供という最終地点を有しつつ、クローン化されると同時に生殖不可能にされているため、男女問わずカップル同士の愛および付随する行為は、本質的に人と人との繋がりの根源とは?といった哲学的な問題へと思索が揺らいでいくのだが、一方で、産業として発達し過ぎている快楽を求め続けようとする退廃的な人々にも重ねあわされていく。

幼き日々からの偏った教育にて作り上げられていく思想体系は、独裁国家やテロ組織にも通じるものを感じざるを得ない。

クローン細胞の提供者が、格差社会における社会的弱者だという設定もまた、被差別集団としてさらに切り離される方向性を有している。社会における物質・金銭という必要性が、ブラックバイトに代表される弱者を生み出し続ける背景と重ねあわされてしまう。

外の人(一般的な他の人々)との共通項として、「人間らしく考え・感じ・生きている」ということがあるにもかかわらず、その共通項は良き介護人としての役割を果たすためだけに用いられ、外の人との交流においては、無用の長物であり、危険思想へとつながりかねないとみなされる。

彼らが、彼らという存在とは全く切り離された視点から再発見されるには、一度、彼らの手を離れ、完全に出自を伏された作品群が、外の人々の作品群の内部に混在したとしても、外の人々には無い何かが感じ取れることが必要になるのかもしれない。
しかしながら、作品が異質であればあるほど、両者の間に受け入れがたいギャップが構築されていく。
外の人々に受け入れられる作品は、ある意味、平凡なものでしかないのかもしれない。。。

これだけ負の要因があるにもかかわらず、物語を正視しつづけていられるのは、物語の基調に流れ続ける「思い」にあるのかもしれない。

幾度となく裏切られても、求め続けようと思う心。。。

たとえ、幾度となく突き放されても「私を離さないで」に応報する無償の愛。。。

物語の中に固定化されてしまった彼らクローンと外の人々を繋ぐ鍵はそこにあるのかもしれない。
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by kisugi_jinen | 2016-02-15 23:46 | つれづれ。。。 | Trackback(2) | Comments(0)
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Tracked from 来生自然の。。。 at 2016-02-17 23:10
タイトル : わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。..
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。ドラマ。。。 おそらくは、少なくとも二通りの見方が存在するのだろうと思っている。 一方は、クローン人間として生まれてきても「同じ人間だ!」と涙を流し続ける人々。。。 他方は、(ドラマレベルでは共感するかもしれないが)実際にクローン人間が近づいて来たら、排除してしまうかもしれない人々。。。 世の中、「差別はダメだ!」と叫ぶ人々が多いにもかかわらず、ありとあらゆる場面で、差別的な言動や態度が見え隠れし、決して排除しえないであろ...... more
Tracked from 来生自然の。。。 at 2016-03-07 03:47
タイトル : わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。..
わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その12。。。 わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。その6。。。 わたしを離さないで。。。Never Let Me Go。。。ドラマ。。。 このドラマにて子役である鈴木梨央が第8話で再登場する場面があるが、恭子がいくら問うても答えを得られなかった「名前」。 実のところ、名づけの重要性こそが、「アイデンティティ・交換不可能性」の最初の一番重要なポイントであろう。 第6話での真実(まなみ)の最後の言葉、...... more
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。
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