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人類がほろぶとすれば、人工知能によってではない。。。
終末論のいくつかは、あまりにも固執しすぎるところに逆説的な強みがある。
その多くは、前提条件すら論理性に欠けるところが多々あったにもかかわらず、多くの信者を獲得してきた。

人工知能にまつわるものは、著名な科学者の推論を根拠にされるところが大きいが、本質を捉え違えている方々が多い終末論には、困ったものである。

「人工知能」と呼ばれるものに滅ぼされるというのであれば、人類そのものによって滅ぼされると同義である。
それら(彼らと呼んでもいい)が、自立・独立しているようにみえたとしても、「人工知能」であれば、人智が掌握しうる範疇にある。たとえ、パーセプトロンの階層が3層ではなく、さらに多層で、人類の脳よりも数倍以上複雑なフィードバック・フィードフォワードの回路網を内部に備えていてもである。

それら(彼ら)が恐ろしく思える背景には、人智による「境界」の破壊がある。

家族連れで買い物途中に、幼子がトイレにいった途端、凶悪な犯罪者に晒される状況。
交通ルールを守って集団登校している児童をなぎ倒していく車。
未成年者による猟奇的な犯罪と、成人後の身勝手な手記の販売。

人々が怒り、恐れ、悲しまざるをえないのは、そういったものが、当然あるべきバリアのような境界を破っているからである。

実生活における境界概念が破られるケースが増えている背景には、インターネット上の仮想空間での境界の無さが関与していると考える。
そもそも、インターネットは境界を越えようとするところから発生したといっても過言ではないだろう。
しかし、皮肉にも、本来、社会が持つべき境界概念を取り込み、制約を課さねばならない程度に広まってしまった。ひとえに「境界の無さ」が引き起こしたといっていい。

さて、近年、多くの犯罪が報道されているのだが、多くは下記の3つの代表的な犯行に類似するのではないだろうか?
1.人智による行動計画にて、人気の途絶えた時空を狙ってターゲットを捕獲する。すなわち、安全領域とみなされる時空間が犯罪者によって冒されている状況。
2.理性という知的な制約を解除しうる酒・危険ドラッグ・睡魔を知的に回避することなく、交通事故を引き起こす。すなわち、知・理性によって境界の保たれている情動を、境界を取っ払って解放した状況。
3.人智にて生み出された知的空想世界での運転を知的に制御可能だと空想・夢想して実車で試し、多くの幼き命を奪い取る。
4.知の枠組みの形成途中で、情動を知的に制御しえなかった猟奇的殺人鬼が、成人後に形成された知の枠組みで捉えなおした過去について記述せざるを得ない状況を、出版という形で境界なく広める行為。

「人工知能が人類を滅ぼす」という仮説は、これら3つのパターンの内、どれに近いものを感じるのだろうか?
おそらく、「全て」ではなく、「1および3」であろう。

2のように、「人工知能」が「知能」たりうるかぎり、自身の自身による「知的制御」を解除(すなわち自殺)しえないだろう。「知的制御を失ってなお自立し、意図的に他者を攻撃するもの」は、もはや「人工【知】能」ではない。

4のように、知的に未発達な「人工知能」に接続され制御不可能な装置にて殺戮が行われたとしたら、「人工知能」によって殺戮されたとは決して言えない。

ところで1のパターンは、人工知能的に制御しやすい範疇に入るだろうし、制御された行動である限り、本質的には制御しうる人智の側の犯罪になりうるであろう。

3のパターンは4に近いが、人工知能が人工知能である限り(すなわち、知能として故障していない限り)、シミュレーションと実機による差を補正するための現場を選ばないのであれば、「人工知能の未熟さ」によって引き起こされた事故とされうるだろう。

境界を破壊し、境界の制御が不可能になりつつある人類。。。
ほころびを繕うように場当たり的に境界を後付しようとする人類。。。
人智による境界の無さによって蹂躙された宗教概念と、対抗手段として用いられてしまったテロ。。。

たとえ人類が「人工知能」と呼ばれるものに滅ぼされたように見えたとしても、その本質は、人智による境界の破壊でしかないし、人類による境界の破壊は、「人工知能」に感じる恐怖以上の恐怖を既にはらんでいることを「知るべき」であろう。。。
by kisugi_jinen | 2015-07-06 03:08 | つれづれ。。。 | Trackback | Comments(0)
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「ともし火に我もむかはず燈(ともしび)もわれにむかはず己がまにまに」(光厳院) --- 厳然とした境界を越え得ぬとき、その上でなお、越えうるものがあるとすれば、それは「情」である。

by kisugi_jinen
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