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因果関係と相関関係と。。。腫瘍が原因か検査が原因か。。。髄膜腫と歯科X線検査。。。
ネット検索していると、時々誤った因果関係を誘導するような記事を目にすることがある。

CNNのニュース
http://www.cnn.co.jp/fringe/30006207.htmlで、
歯科のX線検査、脳腫瘍の発症に関係か 米研究
とあった。
>>>
米エール大学公衆衛生校の研究チームは、髄膜腫で手術が必要になった20~79歳の患者1433人(平均年齢57歳)について、髄膜腫にかかっていない1350人のデータと比較した。

その結果、上下の歯を噛み合わせた状態でX線撮影する咬翼(こうよく)法と呼ばれる検査を年に1回以上の頻度で受けていた人が髄膜腫を発症する確率は、年齢によって1.4~1.9倍の高さになることが分かった。

さらに、顏の周りを1周してすべての歯を1枚の画像に写し出すパノレックスと呼ばれる検査を10歳になるまでに受けた人の場合、髄膜腫を発症する確率は4.9倍になるという結果が出た。

<<<
記事では「因果関係は不明」としているが、明らかにX線検査→腫瘍といった記述に読めるようにしてある。本当にそうだろうか?

髄膜腫はゆっくりと大きくなる良性の腫瘍で、脳の外側から脳実質や神経を圧迫しながら大きくなるので、発見される前に神経系の症状が出る場合があるようだ。
※髄膜腫については下記等が参考になります。
髄膜腫(メニンジオーマ):東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
http://www.twmu.ac.jp/NIJ/meningioma.html
←(「以前、頭部白癬症に対して低線量の放射線治療を受けた方の中で、後に髄膜腫が発生したことが知られています。」での低線量は、放射線治療での低線量で、X線検査での線量と比較して100から1000倍程度多いので注意)
東海大学病院脳神経外科
髄膜腫とは?
http://neurosurgery.med.u-tokai.ac.jp/edemiru/zuimaku/index.html
脳外科医 澤村豊のホームページ - ホーム
髄膜腫 meningioma について
http://square.umin.ac.jp/sawamura/braintumors/meningioma.html

何かしら歯科領域に症状が出れば、歯の周囲に病気が隠されていると考えて検査するだろう。
とくに原因不明の場合には、ことさら詳しく検査せざるを得ないだろう。

そういったストーリーを考えると、
(1)歯科領域のX線検査→髄膜腫
ではなく
(2)潜在的な髄膜腫→(何らかの症状)→歯科領域のX線検査
といった可能性もあるだろう。

それと、もし、「(1)歯科領域のX線検査→髄膜腫」とするなら、
(3)歯科領域のX線検査→歯科領域の腫瘍
の方が、圧倒的に多くなるはずではないのだろうか?

調べられた結果は、あくまで「相関関係」であり、因果関係は逆向き(先に腫瘍があった)と考える方が、自然な気がする。

ただし、原著論文を読んでいないのと、年齢層単位での結果が記述されていないので、そのあたり、わかれば追記する予定。

※2012/04/15 04:50 追記・変更
タイトル文字が長すぎたので、少し変えました
髄膜腫を説明しているサイトをリンクしました。


※2012/07/20 12:50 追記
この記事を書いたことをすっかり忘れていた(論文を入手したが、読むのも忘れていた)のだが、最近アクセスが多いのに気付き、ネット検索してみると、公的な機関がコメントを出していた。
日本歯科放射線学会
https://www.jsomfr.org/
上記サイト内にワードファイルへのURLが埋め込まれている。以下にリンクごと引用。
■学会からのお知らせCancer誌に掲載された髄膜腫の発生と歯科のX線検査に関する論文について、学会としての意見書を掲載しました。
https://www.jsomfr.org/images/word/2012ikensho.doc

上記意見書を見ると、件の論文は「患者へのインタビューを通じた記憶に頼った情報取得」が主体だったようで、お粗末の限りである。専門用語では「リコールバイアスと呼ばれる系統的エラー」なるものが発生するらしい。
また、線量についても述べられているが、大体「歯のエックス線検査で口の中の腫瘍でなく、どうして髄膜腫なの?」だろうし、そもそも髄膜腫に(撮影するエックス線の量よりも千倍程度高い線量を用いる)放射線治療が行われることもあるようで、そちらが原因となってさらに髄膜腫が多発するんじゃないのか? と勘ぐってしまえる程度の話でもある。

反論として考えうるのは、「治療に用いる高い線量では発生せず、撮影に用いる低い線量で発生するのでは?」だろうが、頭を打って骨折を心配してエックス線検査することは多いだろう。であれば「頭の骨折を疑ってエックス線検査をすることで髄膜腫が多発した」なる論文が、真っ先に出されていてもいいだろうが聞いたことが無い。それと、放射線治療も頭全体に強いエックス線を浴びせるのではなく、定位放射線治療なる方法で部分的に強いエックス線を当てるようだから、その周辺の脳は撮影程度のエックス線を浴びることになるだろう。どうがんばって反論を考えてみても、論理的に破綻している程度にしかならないと思えるのだが。。。

東京大学医学部脳神経外科:髄膜腫の治療
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/neurosurg/rinsho/MGM.htm

あと、検索すると下記が引っかかってきた
KKR札幌医療センター放射線科
http://www.kkr-smc.com/rad/
ここに、髄膜腫の放射線治療に関する詳しいことが記載されている
http://www.kkr-smc.com/rad/guideline/2008/meningioma.pdf

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by kisugi_jinen | 2012-04-14 09:20 | つれづれ。。。 | Trackback | Comments(0)
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