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言葉を失いし者達へ。。。ダブルリミテッド。。。
昨日、朝日新聞の朝刊1・2面の「ルポ にっぽん」の「ダブルリミテッド 漂流」(小林裕幸)は、心をえぐられる程の深い悲しみとやるせなさを引き起こす。。。その想いは、「ロストジェネレーション・失われた10年」に対するものと同質のものでもあるが、更に重い。。。ロストジェネレーションでは、言葉の障壁が少ないだけに、コミュニケーションのチャンスが残されているが、ダブルリミテッドでは、コミュニケーションの根底が突き崩されかねないからである。。。

ダブルリミテッド。。。
今回取り上げられている人々は、バブル経済末期の1990年に人手不足の折りに改定された出入国管理法にて、就労制限のない日本滞在が認められたブラジル日系人(2世・3世)の子供達(小学生から20歳位まで)である。
学校で日本語を学ぶ子供達は、片言の日本語からの進歩が遅く、家庭では両親が話すポルトガル語の習得が年相応とまでいかないとのこと。
原因・要因・遠因はある意味複雑で、種々の考え方・見方が交錯するところであるが、コラムによると、出稼ぎ就労者を囲い込む環境(日本文化圏との境界設定・コラムでは「ガラスのコップ」と表現)によって、子供達や家族の日本文化圏へのとけ込みが困難な状況にあったことで、子供達の日本語を習得する機会が失われていたことと、家族・親がポルトガル語を主として話すものの、残業等で遅くなり、子供達とゆっくり会話することが困難な状況に置かれていたことにあるという。
バブル崩壊後からの不況は、未就学を引き起こし、母国語も日本語も不十分なまま、不安に駆られながらブラジルに帰国するか、日本にとどまるかを選択せざるを得ない。閉鎖的な日本社会という概念が、彼らの行動を呪縛する。。。
コミュニケーションの根底がえぐり取られた彼らにとって、犯罪行為は言葉にならないコミュニケーションの一つだったのかも知れない。日本に一カ所あるという日本語を十分に話せない外国人のための少年院は、彼らにとっては、救いの場所になっている。。。なぜなら、それまでの修学にて得られた日本語の表現力を越えるだけの十分な日本語を、たったの1年間で身につけることができるからである。
生活環境に密着した一種類の言語習得環境が必要だろう。。。朝起きてから、寝るまでの生活環境においてである。
二種類が必要な場合には、少なとも、ある程度の(基本的な)抽象概念を一種類の言語(母国語)で十分に表現可能なことが最低限必要だという。


言葉の障壁が少ないであろうが、同種の問題はフランスでも起こっている。ダブルリミテッドは、かつて取り上げた、フランスでの移民の暴動事件における複雑な背景に繋がるものがある。。。そこにおいては、「ガラスのコップ」のような文化圏の枠は表面上取っ払われているものの、高度の抽象概念(哲学)を形成するだけの学習環境を準備できるかどうかといった出発点の差異が問題になっているという。。。
フランスの暴動。。。そして日本。。。
http://jinen.exblog.jp/3760612
フランスの暴動 ―欧州の移民社会とフランスのジレンマ―
日本国際問題研究所・小窪千早(研究員)
http://www.jiia.or.jp/column/200511/09-shoukubosensou.html


参考URL

年少者に対する日本語教育の諸問題(1)
-栃木県における事例を中心に-
高橋節子
http://www.hakuoh.ac.jp/~katakata/ronbun/mokuji.htm
Ⅲ.年少者の外国語習得
http://www.hakuoh.ac.jp/~katakata/ronbun/1-3.htm

バイリンガル子育て奮戦記
ダブルリミテッド・バイリンガルについて
http://bilinguals.blog54.fc2.com/blog-entry-45.html

wikipedia:多言語
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E8%A8%80%E8%AA%9E


「日本在留研究会 日本でポン!」つれづれコラム
母語の重要性
http://www.geocities.jp/papaya3386/ture.html

早稲田育英ゼミナール綱島教室公式ブログ
バイリンガルとダブル・リミテッド [国語学習] [編集]
http://wasedaikuei.blog.so-net.ne.jp/2010-03-23-1

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by kisugi_jinen | 2010-03-24 05:12 | つれづれ。。。 | Trackback | Comments(0)
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